ようやく平穏ムードに包まれたフジテレビがまた激震に見舞われた。
7日配信の文春オンラインで、フジサンケイグループ元代表で元フジの取締役相談役だった日枝久氏(87)の独占インタビューが掲載されたのだ。
元タレント・中居正広氏の女性トラブルに端を発した同局の問題が起きて以後、日枝氏がメディアの取材に応じたのは初。日枝氏は「どこかで事実を話そうと考えてきました」と切り出した。フジが設置した第三者委員会が「有力取引先と良好な関係を築くため、会合で若い女性アナウンサーや社員を利用した」と認定し、厳しく糾弾した〝上納文化〟について、「冗談じゃない、フジに上納文化なんてありません」と一蹴。さらに〝フジのドン〟と言われ、人事権を掌握していたということにも、あくまで相談役としての立場を強調した上で「決めるのは社長であり、会長です。人事の影響力を行使したのとは違う」と否定した。
これに衝撃を受けているのは、フジ局内だ。それもそのはず。フジは7月6日に自社で検証番組「検証 フジテレビ問題〜反省と再生・改革〜」を放送したばかり。日枝氏の権力と責任についても検証したが、3回にわたった取材要請をすべて拒否していたからだ。フジ局員の話。
「検証番組への出演は頑なに拒否したのに、文春の取材で不満をぶちまけている。しかもテレビ業界を巻き込む社会問題になっているにもかかわらず会見などではなく、特定の媒体でインタビューに応じている。これはまさに〝フルオープンの会見〟にせず、批判を浴びたかつてのフジの姿勢。もし他局で同じことをやられたら、フジは猛批判を展開しているはず。『自浄作用はどうなっているんだ』と世間から思われてしまうのは確実。これまでの再生・改革が台無しになってしまう」
検証番組では「日枝体制の長期化」と題し、企業風土を形成する上で大きな影響を与えたと指摘。側近の1人だった遠藤龍之介元副会長は「いろんな決定事項において、もっとも影響力がある人事権を持っていたからですよ」と明かせば、2007年から13年にフジテレビ社長を務めた豊田皓氏は「役員の指名も報酬の決定も日枝氏が行っており、役員指名ガバナンスも役員報酬ガバナンスも機能していなかったことは事実だと思う」とまで答えている。
落ち着きかけたフジ問題の新たな火種になりそうだ。
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