なにわ男子・藤原丈一郎が演じる“死者の声が聞こえる”という役に立たない特殊能力を持つ男が、嫌々ながらも社会の闇に足を踏み入れ、非業の死を遂げた人々の人生に寄り添い奮闘する姿を描く社会派ミステリー「ロンダリング」(毎週木曜深夜2:15-2:45ほか、フジテレビほか/FOD・TVerにて配信)。その劇中で、緋山に事故物件のロンダリングを依頼する不動産会社社長・天海吾郎を演じる大谷亮平に、今作の見どころや役について聞いた。
■ヒール役ではないので、後半に向けての天海を見守っていただけたら!
――まずは今作で共演されている、緋山役の藤原丈一郎さんとP.J.役の橋本涼(B&ZAI)さんのお二人と共演してみての印象を教えてください。
第1印象は、「爽やか」ですね。爽やかで真面目なのでいじれないというか(笑)。それくらい真っすぐでキラキラしていました。
藤原さんは、クランクインしたときから迷いなく突っ込んでくる感じで。本人は「緊張してます」と言っていたけれど、思い切ってやっているパワーがありました。
橋本さんとは、本作の謎解きにかかわる大事なシーンでご一緒しましたが、ネガティブな感じが全くなく、思いきって飛び込んでくる感じでしたね。
――専業の役者さんとはちょっと違う感じ?
う〜ん。それはもしかしたら、僕の「アイドルの方だ」という先入観があったからなのかもしれないけれど、芝居に関しての“本気”を目の当たりにした感じはありましたね。
1話で藤原さんが霊の声がきこえてパニックになるシーンがあるのですが、ああいうシーンって見た目以上にキツイんですよ。すごくパワーが必要なんだけれど、パワーを出し惜しみしていなかった。パニックになっている緋山を天海が「落ち着いて」と止めに入るのですが、その振り払い方が「あ、マジだな、こいつ」というくらいのパワーで(笑)。それを見て「“こなす”とか“ふりをする”つもりはないんだ、この人は」と思いました。どのシーンもやり切っていましたね。1話のこのシーンってすごく重要で、これが中途半端だったら、“幽霊の声が聞こえる”という作品の中核が軽いものになってしまう。そこをしっかり演じてくれたのは、「大丈夫だな」と思えた要因でした。
――大谷さんは、この世に恨みを残す“死者の声”が聞こえる特殊能力を持つ緋山鋭介をアルバイトとして雇う不動産会社の社長・天海吾郎を演じられます。天海はどういう人物だと捉えていますか。
ドライで冷酷な印象を与えるキャラクターですが、実は一人の人間としてすごくもがいていて、終盤にかけてどんどん人間的な部分が出てきます。徐々に感情が出ていくキャラクターなので、前半は緊張感という意味でもちょっとサイコっぽく冷酷に見える感じに演じました。ドライなだけだと、天海という人物の魅力が伝わらないと思ったので。ヒール役ではないので、後半に向けての天海を見守っていただけたらと思います。
――ちなみに、大谷さんは霊を感じるタイプですか。
このドラマには合っていないのですが、信じていないとこがあるんですよ(笑)。だからこの作品の特殊能力というのを疑って見ているかもしれません。でも、僕が金縛りにあったときに見えたものと同じものが見えたという人がいて……。同じものが見えるというのは、何かあるのかなとは思いましたが、霊感はないです。
――それは……何かあるのでは(笑)。演じられた天海と大谷さんご自身との共通点や共感できた点はありますか。
天海の経歴が普通じゃなさすぎるので、共通点はないかも(笑)。天海の生い立ちは後半に向けて明らかになっていきますが、彼に関しては「そうするしかないよな」と思える部分はありました。生きるか死ぬかというシチュエーションになった時に発するセリフがあるのですが、そこはすごく正直で人間味があるというか……、そのセリフがあったから、天海をただの冷酷な人間にしたくないと思ったというのはありますね。
すみません。ネタバレしちゃうので、言えないことが多くて……。そんな中、必死に共通点を探すと、“不動産好き”というところかな。間取りを見るのが、すごく好きなんです。
■大谷亮平が語る物件選びのこだわりポイント
――大谷さん的、物件選びのポイントはどんなことでしょう。
ほぼ毎日スーパーに行くので、スーパーが徒歩圏内にあるかとか、方角とか。日当たりは大事なのですが、今、西向きの家に住んでいて、とんでもない西日が入ってくるんです。暑すぎて、リストに入れました。「西はダメ」って(笑)。
――大谷さんは韓国生活の経験もありますが、韓国は日本と賃貸契約の方法が違いますよね。「チョンセ」というシステムは、先に不動産売買価格の70%ほどの高額の保証金を預けて月家賃がなく、「ウォルセ」は10ヶ月分の保証金を先に払い月家賃がある日本に近い形だったり。
そうなんですよ。どちらにせよ、日本より高額の初期費用が必要で。最初それを知らなくて、あまりに高額なので詐欺かと思いました(笑)。母が韓国人の知り合いの方にきいたら、「そういう制度がある」と言われて納得したのですが。
――韓国では何を基準に物件を選んでいましたか。
江南(カンナム=日本で例えると港区)のど真ん中に10年くらい住んでいました。「もうちょっと安くて広いところがいいなら、ちょっと郊外に出たら」とみんなに言われたのですが、歩いて行ける距離で6〜7回引っ越しをしましたね。でもそこに住んでいたからこそ、頻繁に外に出て人に会っていた。だから語学の習得も早かったんだと思います。
――フットワークよくいられる場所ということですね。ドラマ「ロンダリング」は大阪で撮影されたそうですが、大谷さんの地元ですよね。
はい。大阪での長期撮影は朝ドラで8ヶ月くらいいたことがありますが、それ以来ですかね。しかも、撮影現場が出身高校の近くだったんですよ。僕、人生で1番濃い時間を過ごしたのが高校時代なんです。何も考えずに移動車に乗っていたら「あれ、ここって?」と記憶が蘇りました。大阪でというより、母校の近くで俳優として仕事をしてることが感慨深かったですね。高校時代は想像もできなかったどころか、当時からしたらありえない話ですから。
――なんと、本作の監督も同じ高校の出身だそうですね。
そうなんですよ。びっくりしました。僕は高校時代にバレー部で過ごした3 年間が本当に濃かったんです。きいたら監督はサッカー部で。10歳以上離れているけれど、バレー部の隣のテニス部を挟んでサッカー部の部室があった。あの部室からドラマに関わる人が出てきてるというのはすごく不思議な感じがしましたし、同時に心強くもありました。
高校には苦い思い出ばかりがあったけれど、今回でロンダリング(洗浄)できました(笑)。
――「ロンダリング」というお話が出ましたが、ロダリングしたい黒歴史はありますか?
お気に入りのカーディガンのセットアップがあったのですが、スタイリストのアシスタントの子に「これ洗濯して大丈夫?」ときいたら「全然大丈夫っす。乾燥機も大丈夫です」と言われたので洗濯機で洗って乾燥させたら、袖が7分くらいになってしまって(笑)。どうやったら戻せるかネットで調べて、トリートメント液に入れてぐーーーっと伸ばしたけれど、戻らなかったですね。めちゃくちゃお気に入りだったのに! ロンダリングして取り戻したいです。
――洗濯という点では、ダブルの意味でのロンダリングでしたね。
本当にそうですね(笑)。あれはもう、悔まれる!
――ドラマの見どころを教えてください!
ドラマの題名になっている「ロンダリング」に、どういう意味があるのか。なぜそこに霊の声が聞こえる緋山が必要なのか。その謎に迫っていくミステリーの真相は、やはり一番の見どころになっています。そしてそこに天海やP.J.がどう絡んでくるのか……。
ミステリーなので現時点で言えることが少ないのですが、1話見たら止まらなくなると思います。キャストの皆さんとも「台本、面白いね!」と話していて、先の台本が来るのが待ち遠しかった。謎に迫っていく過程や結末に向けてのストーリーが、いい感じに複雑なんですよ(笑)。
最終話ですべての謎が解けますが、そこに行きつくまでの謎解きの楽しさがある。しかもそれが、簡単に謎解ける謎じゃない。そのヒントになるのが“霊の声”なのですが、緋山がその声を聞いてどう解き明かしていくのかを皆さんも一緒に楽しんでほしいです。だたし簡単な話じゃないから、しっかり見ていないとストーリーに追いついていけないかもしれませんよ。
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