キックボードを使って、スケートボードやBMX(バイシクルモトクロス)のように、アクロバティックな技を競うスポーツ「フリースタイルスクーター」。2024年10月の世界大会で準決勝に出場し、今年3月の日本選手権で3位に入賞した千葉県浦安市の大学生、本瀬湧麻さん(19)にその魅力を語ってもらった。【石塚孝志】
――フリースタイルスクーターとはどんな競技ですか。
◆競技用のキックボードを使い、45秒の競技時間の中で、技のきれいさや成功度などを競います。スケートパークに設置されたジャンプ台などを使って飛んだり、自分とスクーターが回転や宙返りしたりします。他にも、スクーターを投げてキャッチしたり、手すりを滑ったりと技は無限です。
25年ほど前に欧米で始まったといわれ、競技人口は世界で100万人、国内でも1000人以上います。
――本瀬さんが始めたきっかけは。
◆中学2年から3年の春、ちょうどコロナで学校が休みの時期です。たまたま(動画投稿サイトの)ユーチューブで海外のスクーターの動画を見て、「何だこれは」って興味を持ちました。
自分でもスクーターをやってみたいと思い、子どもたちが乗っているキックボードでまねをしてみました。でも全然できませんでした。
――どうやって練習したのですか。
◆ほとんど独学です。ユーチューブで競技の動画を見ながら、見よう見まねで。一つの技をマスターするのに何カ月も掛かったりしますが、できたときはめちゃくちゃうれしいですね。
たまたま日本の第一人者が祖母の住む愛知県で店を出していて、祖母の家に行ったついでに会いました。店の前で技を見せてくれたり、教えてくれたりして、すごいなと。SNS(交流サイト)で「千葉の中学生が会いに来てくれた」と投稿してくれたので、東京に住む人が「今度の土日に一緒にやろう」と声を掛けてくれるようになりました。
――どういうところに魅力を感じますか。
◆スクーターは奥が深くて、大胆なアクロバティックな動きの中にも繊細な動きもあって、そういった微妙なバランスが好きです。
もちろん技自体もすごく魅力的なのですが、僕が衝撃を受けたのは、コミュニティーの温かさ。スクーターを始めてから数カ月後には日本中に友だちができました。大会では正々堂々と戦いますが、普段は技を教え合ったり、技がうまくできたときはみんなでたたえ合ったりします。
――今後の目標を教えてください。
◆僕は目標と夢を分けて考えていて、目標は日本選手権で表彰台に上がることでしたが、3月にかなってしまったので、次は11月に茨城県である世界大会で決勝に進出することです。
夢はスクーターを広めることですが、高校3年間はフィジーに留学していたので、フィジーにスケートパークを造りたいと思っています。
もとせ・ゆうま
2006年生まれ、東京都出身。普段は近くのスケートパークなどで週4回程度練習している。競技を広めるため、国内のイベントに積極的に参加するほか、交流サイト(SNS)でも発信している。
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