なべやかん「クソ芸人からのチャンピオン」出版 明大替え玉事件から34年、プロレス王者への軌跡

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お笑いタレント、なべやかん(54)が著書「クソ芸人からのチャンピオン−進化する挑戦者として」(さくら舎)を出版した。1991年(平3)に明大替え玉受験事件で、ビートたけし(78)の付き人として「たけし軍団」入り。マイナスのスタートから、パワーリフティング全日本チャンピオン、ベストボディ・ジャパンプロレスでBBW無差別級王者に輝いた。その軌跡を聞いた。【小谷野俊哉】

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1970年(昭45)にタレントなべおさみと女優笹るみ子さん夫妻の長男として東京・下北沢に生まれた。小学校から高校まで成城学園に通った。

「成城で女優の鶴田真由と元TBSアナウンサーの雨宮塔子が同級生、栗尾美恵子さんは1学年上です。小学校の時はモデルの平子理沙さんも一緒だったんですけど、途中からアメリカンスクールに行っちゃいましたね」

91年春に明大替え玉受験事件があり、一転してビートたけしの付き人になり、たけし軍団に加わった。

「明大に一応は入れるとということになってたんですが、事件が明らかになって取り消し。なぜか相撲部推薦で、『夜間』の学部に決まってたので『なべやかん』の名前をもらって芸人になりました」

今から34年前のお笑い界。今とはコンプライアンス(法令順守)が違う。というよりも、コンプライアンスという言葉自体がなかったような時代だった。

「あの当時の芸人の飲み会で、裸にならないことはなかったですからね。誰かが必ず全裸にはなってます。テレビでも水泳大会なんか、僕はただ後ろににぎやかしでいただけなんですけど…。でも、本当にみんなセックスしてましたよね。テレビマンもすごかったですよ。そのために後ろでパフパフとか鳴らしている女の子たちがいるわけですから。あとは、当時のテレビ界は怖かったですね。プロデューサーとか、ディレクターが怒鳴り散らしていました」

ガダルカナル・タカ、つまみ枝豆、井手らっきょ、ダンカン、松尾伴内、ラッシャー板前らのたけし軍団の下っ端に加わった。

「漫画『あしたのジョー』の世界の少年院に入ったようね感じでしたね(笑い)。でも、軍団の兄さん方は優しかったですよ。日テレの『スーパーJOCKEY』のガンバルマンのコーナーでも、僕を前に出してくれましたから。自分たちができないとか、やりたくないことを『やかん、お前行け』って、若手に振って来るんです(笑い)。みなさん、もういいお年でしたからね」

体を張る過酷な芸人人生で何度か死ぬような思いをして、97年には体を鍛えるためにジムに通い、ベンチプレスを始めた。

「番組で、もういろいろ過酷なことを毎回やらされるんで、もうダメだろ、これ死んでしまうっていうんで。ちょっと運動とかやっとかないといけないって、スポーツジムに入ったのがきっかけでした。ベンチプレスやパワーリフティングは競技が体重別なのが、小さい自分には有利かなと思いました」

競技を始めたばかりの97年にベンチプレスの関東大会で優勝。全日本でも計3回優勝した。

「元々はスポーツはラグビーをやってました。成城学園のラグビー部は大先輩に明大、新日鉄(現日本製鉄)釜石で大活躍した松尾雄治さんがいたんです。松尾さんは成城学園から、ラグビーの強豪の目黒高校に行って授業なんかほとんど出てなかったそうですが、明大にスカウトされて、ちゃんと入学したそうです(笑い)」

パワーリフティングで全日本王者になり、アジア大会、世界大会へも出場。18年にはベストボディ・ジャパンプロレスでプロレスラーとしてデビューした。

「やりたくもなかったんですけどね。プロレスは誘われたら見るとか。あとはサムライTVで『キングスロード』っていう番組は見てましたけど。大体、48歳でしたからね。ちょっとだけと言われて旗揚げに参加したら、全く話が違っていました。チャンピオンにもなったけど、10年でやめようと思っています。今月22日に55歳の誕生日だから、あと3年ですね」

一方で、芸能界でも指折りのキャラクターグッズのコレクターとして知られる。ゴジラ、スター・ウォーズなどのグッズの収集で知られている。

「コレクターとしては、もう最近は何も買えないです。もう高くなりすぎちゃったんです。コロナ以降の傾向です。昔はマニアの中でだけだったけど、今はいろんなものがネット上に出されて『このグッズがいくらになる』っていうのが分かりやすいので、海外から参入して来る人がすごいんで、もう無理です」

それでも、マイナスから始まったタレント人生を楽しんでいる。21年(令3)から始めたエフエム世田谷「なべやかんのブヒブヒスパークタイム」(木曜午後11時)では、14年に結婚した荻野真理(47)と一緒にパーソナリティーを務めている。

「自分で何かやらなくちゃと思って、スポンサーを探して始めました。あと地元の下北沢シアターミネルヴァで月に1回主催しているお笑いライブ『嗚呼お笑い東洋太平洋秘宝館タイトルマッチ』は、去年30周年を迎えました。これは奇跡ですね。普通の世の中じゃ生きていけない、貴重な芸人が出演しているので、ぜひ見に来てください」

父なべおさみも86歳になった。9年前には長年連れ添った夫人の女優笹るみ子さんに先立たれている。

「それが、びっくりすると言うか、あきれかえるくらい元気なんです。今でも年齢と同じ86回のスクワットをこなしています。僕も50歳を過ぎたけど、老け込んでいられませんね」

まだまだ、上を目指す覚悟だ。

◆なべやかん 1970年(昭45)8月22日、東京・下北沢生まれ。父はタレントなべおさみ、母は女優の故笹るみ子さん。小学校から成城学園で1年留年して成城学園高卒業。女優平子理沙は小学校、女優鶴田真由と元TBSアナウンサー雨宮塔子は高校の同級生。91年(平3)年に明大替え玉受験事件が発覚して、ビートたけしの付き人、弟子として「たけし軍団」の一員になって芸能界入り。全日本パワーリフティング選手権で98〜00年準優勝、01、02、04年優勝。14年8歳年下のラジオDJ荻野真理と結婚。15年特撮テレビドラマ「武蔵忍法伝 忍者烈風」に出演、監督。153センチ。血液型A。

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