尾碕真花「虎に翼」で伊藤沙莉から学んだ“主役の光”を胸に飛躍を誓う夏 TBSで主演&フジ月9に初出演!

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特撮ドラマ「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(テレビ朝日、2019年)のリュウソウピンク役で注目を集め、その後に出演したNHK連続テレビ小説「虎に翼」(24年)でも存在感を示し、女優として着実にキャリアを重ねている尾碕真花。この夏、ラブコメドラマ「シンデレラ クロゼット」(TBS系、主演)と、シリアスな役柄に挑む月9ドラマ「明日はもっと、いい日になる」(フジテレビ)という対照的な2作品への出演を果たす。女優デビューから約10年。24歳の彼女が見せるフレッシュな輝きの裏には、芝居へのひたむきな探求心と、忘れられない先輩との出会いがあった。(取材・文:磯部正和)

自分にない役だからこそ面白い「シンデレラ クロゼット」で見つけた主演の在り方

尾碕が、松本怜生と共にダブル主演を務めるドラマストリーム「シンデレラ クロゼット」の放送が始まった。尾碕演じる気弱で地味な主人公、福永春香が、自分なりの美を追求する専門学生の女装男子、神山光(松本)と出会ったことで、自らを変えていこうと奮闘する青春ラブストーリーだ。

「とにかく原作に忠実に、その良さを崩すことがないように、そして3次元だからこその良さや、やる意義を見つけながら挑ませていただきました。映像化すると尺の関係でストーリーが変わることはありますが、一番はやっぱりキャラがブレてしまうと本当に良くないなと。とにかくキャラがブレないようにしながらお芝居させていただきました」

春香は、垢抜けず自分に自信がない女の子。そのキャラクターは、自身の性格とは「まるで違う」と断言する。

「『シンデレラ クロゼット』に関しては、本当に私にはない要素なので。明るさは分からなくもないのですが、ピュアさや人に対する接し方みたいなものは、本当にまるで違うので。そこはもう原作を大切にして、アウトプットしてなんとか福永春香という役は作り上げた感じでした」

自分と似た役と全く違う役。どちらにも異なる難しさと楽しさがあるという。

「似ている役は共感できるしリラックスしてできるのですが、自分をかませるとちょっと緊張しちゃう難しさもありますし、『シンデレラ クロゼット』みたいに全く自分にない要素を作り上げていくのは、逆に共感できないからこそ、キャラを想像して披露する楽しさがあります。でも、分からないからこそ合っているのかも分からないっていう難しさもあって。両方好きです」

主演として現場の真ん中に立つ上で、大切にしている「信条」がある。それは自分の手で心地よい空気を作ること。

「まず、自分自身がご機嫌でいようとは思いますね。主演って一番スタッフさんや他の方と関わる時間が長いんですよね。だから、自分の機嫌は自分で取ろうと思うようになりました。あとは、皆さんが過ごしやすいようにしたいなとか、差し入れも喜んでいただけるものをなるべく用意したいなとか。でも、まだまだ主演をさせていただいてそんなに経っていないので、そう思う反面、助けていただくことの方が多いなと感じています」

「この人のためにがんばろう」朝ドラの現場で見た「伊藤沙莉」という太陽

「多くの人に助けられた」という主演作の現場。謙虚に語るが、その視線の先には、座長としての明確な理想像がある。昨年、大きな話題を呼んだ朝ドラ「虎に翼」で共演した女優の伊藤沙莉。尾碕は「虎に翼」で、ヒロイン佐田寅子(伊藤)が事実婚した星航一(岡田将生)の娘、のどかを好演した。

「朝ドラで『虎に翼』に出させていただいて、やっぱり伊藤沙莉さんはすさまじくて。私自身、主役をやらせていただく機会が増えてからは、伊藤さんをすごく目標というか理想として、現場に行くことは増えました」

一体、伊藤の何が尾碕の心をそこまで強く引き付けたのだろうか。

「現場でのオンオフが素晴らしかったです。役に入ったらもう一発で『これだな』っていう、100パーセント以上の芝居をされるのに、カットがかかってオフになると、ケタケタケタってすごく笑ってらっしゃって。それだけで、すごく現場も明るくなるんです。周りが支えたくなるし、『この人のためにがんばろう』って思える方だと、私はすごく思いました」

芝居の実力もさることながら、伊藤の人間力で現場を照らし、一つにする力。それこそが、尾碕が目の当たりにした“主役の光”だ。

「こういう風になれたらいいなと強く思いました。やっぱり人に好かれる方って強いなって思ったきっかけの一つでもありました。まだまだ助けていただくことばかりですけど、いつか伊藤さんのように、周りのみんなが『この人のために』って自然と思えるような、そんな主役になれたらと思っています」

「嘘をつかない私」で挑む月9、 キャリア10年目の「現在地」と「未来」

「シンデレラ クロゼット」で主演を務めるほか、月9「明日はもっと、いい日になる」にも出演する。同一クールで2本の連続ドラマにレギュラー出演するという充実の夏。「シンデレラ クロゼット」で見せるキラキラしたラブコメの世界とは一転、「明日はもっと、いい日になる」で演じるのは、ネグレクトに走ってしまうシングルマザーだ。なかなかの難役で、これまでのキャリアで培ってきたものの「集大成」という覚悟で芝居と向き合っている。

「監督に最初に『とにかく普通じゃなくていいですし、普通の芝居じゃなくていいです。ちょっとおかしな人であってほしい』と言われて。そのヒントをいただいて、髪も人生で初めてブリーチにしました。外見から変わったことによって、すごくセリフが入りやすくなりました。そこからネグレクトなどの資料や映画を見ているうちに、共感はできなくても『分からなくもないな』という部分が見えてきて、役が作りやすくなっています」

経験したことのない母親という役柄だが、その表面的な設定に惑わされず、役の「内面」に深く寄り添おうとしている。

「子供をネグレクトしてしまった要因って、母親に限らず独身でもあることだと思うんです。たまたまこの役の周りには子供しかいなかったから子供に強く当たってしまっているだけであって。シングルマザーは経験できていないけれど、内面で共感できるところがあるのかなという風に考えて役を模索しています」

多くの経験を重ねたことで、芝居への向き合い方がここ数年で大きく変化したという。

「今まではとにかく作り込んで、現場でいかに作ったものを見せられるか、という気持ちでした。でもここ最近は、尾碕真花として生きている人間味みたいなものが、お芝居に影響するなってすごく実感していて。自分の生活環境を整えないと、いいお芝居もできない。余裕って大事だなと思うようになりましたね」

その「余裕」を生み出すために彼女が大切にしているのが、“自分に嘘をつかない”こと。

「とにかく嘘をつかない、誠実にということをすごく意識しています。嘘をつかないで生きていると、嫌われたとしても『まあでもこれが私だ』って思えるようになったんです。偽らずにいることが、割と息抜きというか、自分の軸になっているなと思いますね。自分を大切にするようになってからは、余裕が出てきたんじゃないかなと思います」

芝居を始めて約10年。かつては自分の芝居を見ても「全然良くないなって思っていた」というが、今は少しだけ自分を認められるようになった。その変化もまた、心の余裕から生まれているようだ。

「最近になってやっと、今の表情なんか良かったのかなとか、少しプラスも見えてくるようになりました。もちろんある程度の緊張感は大事ですけど、ガチガチでやっていると呼吸の仕方も忘れちゃう。そういったことがなくなったので、余裕から出る余韻みたいなものが、お芝居にできているのかなって思います」

「自分に嘘をつかず、誠実に」。その強さを軸に、役の内面に深く潜り、現場では太陽のように明るくいようと努める。飛躍の夏。「女優、尾碕真花」の新しい一面が見られそうだ。

「本当にこのペースで、失速せずにお芝居に携わっていけたらいいなと思います。皆さんを飽きさせないようにいろんな役を演じながら、多くの作品に出られたらうれしいですね」

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