復活への光がなかなか見えない『フジテレビ』
7月上旬に大規模な組織改編を行い、再スタートを切ったフジテレビ。そうしたなかで、再び時代にそぐわない大物タレントへの接待が明らかになった――。
8月18日、『女性セブン』が福山雅治(56)とフジテレビ女性アナウンサーによる「不適切会合」を報じた。福山は’05年ごろから’19年ごろにかけ、同局の大多亮(とおる)元専務取締役(66)が半年に1回程度開催していた通称「マシャ会」に参加。記事によれば、同席した女性アナに対して下ネタを投げかけるなどセクハラまがいの行為をたびたび行っていたという。
不適切会合の実態は、第三者委員会による中居正広(53)の女性トラブルの調査中に発覚。まさかの″飛び火″となった。目下、注目を集めるのがフジが制作し、福山が主演を務める9月12日公開の映画『ブラック・ショーマン』の行方だ。
「福山の″不適切会合″報道以降、局内では『ニュースで扱う場合は事前に社内共有せよ』というお達しが回ったものの、対応はその程度。フジとしても期待の大きい作品だけに、延期や中止は検討されていないそうです」(配給会社関係者)
清水賢治社長(64)のもと、コンプライアンス推進室を「局」に格上げし、ガバナンスの引き締めを推し進めているなかでの今回の報道。予定通りの公開という判断を下した経緯についてフジへ質問状を送ったところ、以下の回答があった。
「映画興行の詳細については、お答えしておりません。当社では、(中略)当該会合において、福山雅治氏によるハラスメント行為があったという申告は確認されておりません。(中略)ハラスメント防止に向けた各種取り組みを継続してまいります」
再建へ向け、歩み始めた矢先に飛び出した大物タレントとの不祥事。復活への光がなかなか見えない状況に、現場では不満が燻(くすぶ)っているという。
「清水社長はアニメや映画など自社IPの開発強化を図る一方、不祥事が続発したバラエティ部門の締め付けに動いています。7月の組織改編に伴う人事異動では、バラエティ制作局と情報制作局を統合し、その局長に情報制作局のトップを昇進させた。今後はフジらしい王道バラエティから教養バラエティ重視にシフトしていくといわれています。
そんな状況を受けてか、組織改編の翌週、『ぽかぽか』のチーフプロデューサーが突如、会社を辞めたんです。彼は以前から『制約が増えすぎて新企画が立てられない』と不満を言っていた。どうやらネットフリックスからも声がかかっていたようで、より自由な環境を求め、退社を決めたそうです」(制作会社関係者)
バラエティの現場で働くフジの中堅局員も、批判を口にする。
「番組制作に使える予算は減り続けています。たとえば『ぽかぽか』では、今までは1オンエアにつき数十万円使えた諸経費が上限10万円に削減されたそうです。これではVTRの素材として他局から映像を借りることさえままならず、番組のクオリティに関わる。バラエティを中心に退職者も相次いでいて、仕事がデキる人から辞めていっている状況です」
フジが作る『VIVANT』
そんななかでフジが切り札として期待しているのが、局内でも極秘で制作が進められているという″秋の巨弾ドラマ″だ。脚本には、22年ぶりの民放地上波連ドラとなる三谷幸喜(64)を迎える。
「主演を務めるのは菅田将暉(32)。1970〜80年代の渋谷を舞台に、現在も営業する伝説のストリップ劇場・渋谷道頓堀劇場を中心とした裏方スタッフや駆け出しの漫才師、新人作家などが織りなす群像劇になります。浜辺美波(24)や二階堂ふみ(30)に加え、小池栄子(44)や小林薫(73)ら豪華キャストが出演予定です。
イメージ刷新のため、伝統あるドラマ枠の『月9』ではなく、水曜10時枠での放送となります。主要キャストの3人以外は放送までわからないようにするという気合の入れっぷり。制作費もかなりかけているようで、TBSの大ヒットドラマに擬(なぞら)え『フジ版VIVANT』なんて呼ばれています」(芸能プロ関係者)
フジとしては、この新作ドラマと福山の新作映画を皮切りに、来年の公開が発表されている『踊る大捜査線』と『教場』の人気映画2本に繋げていく狙いがあったという。しかし、今回の福山の報道を受け、早くもその目論見が崩れつつある。
「福山の前には石橋貴明(63)への接待も問題化した。そもそも調査報告書にあった、中居と高級ホテルで女子アナ飲み会をしていたタレントについても明らかになっていません。一つ問題を乗り越えたと思ったら、別の疑惑が出てくる。フジに巣くう果てしない闇から次は何が飛び出すのかと思うと、大きな企画は進められないですよ」(前出・フジ局員)
8月中旬、フジ本社を訪れると、例年であれば『お台場冒険王』の会場として大勢の来場者で溢(あふ)れ返る社屋前は、人通りもまばらな状態だった(上写真)。今夏は看板特番である『FNS27時間テレビ』の放送も中止となっている。閑散としたお台場の光景は、どこかフジの窮状を象徴しているようであった。


『FRIDAY』2025年9月5日号より
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