<怪獣8号>英雄の死がもたらした深い喪失とそれでも宿る決意の光 染みる会話劇で見せたドラマ回

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アニメ「怪獣8号」第17話より
アニメ「怪獣8号」第17話より / (C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

アニメ「怪獣8号」第2期(毎週土曜夜11:00-11:30ほか、テレ東系列ほかにて放送/X(Twitter)にて全世界リアルタイム配信/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Lemino・TVerほかで配信)の第17話「強くなりたい」が8月16日に放送された。かつて防衛隊史上最強と謳われた男・四ノ宮功(CV.玄田哲章)を失い、悲しみに暮れる防衛隊。その中で日比野カフカ(CV.福西勝也)、鳴海 弦(CV.内山昂輝)、四ノ宮キコル(CV.ファイルーズあい)は悔しさを糧に、9号(CV.吉野裕行)の討伐を心に誓う。今話はそうしたキャラクターの内面に踏み込む描写が視聴者を揺さぶった。(以降、ネタバレを含みます)

■鳴海の心に火を点けたキコルの決意

9号に吸収され、その強大な力の一部と化してしまった功の最期は、防衛隊員たちの心に大きな影を落とす。第17話「強くなりたい」は、この重苦しい雰囲気の中から、それでも前を向こうとする者たちの静かな、しかし確固たる決意を丁寧に描き出した。

功の死に、やり場のない怒りと無力感に苛まれる防衛隊員たち。特に、父を失ったキコルの悲しみは計り知れない。二度と繰り返さないと誓った母ヒカリの悲劇を、今また繰り返してしまったのだ。自分が遅かったせいで、自分が弱かったせいで、今度は父を助けられなかった。

自責の念に涙するキコルだったが、彼女はただ悲嘆に暮れるだけではなかった。9号を討伐し、それを父の弔いにすると誓い、「私、強くなりたいです!」と、涙に濡れた顔を上げる。

キコルのその姿は、鳴海の心にも火を点ける。「次にあいつと戦うまでに、お前を僕の次くらいに強くしてやる」と応え、鳴海とキコルは特訓を開始する。鍛練に励むキコルの瞳には、必ず強くなるという強い決意の光が宿っていた。

アニメ「怪獣8号」第17話より
アニメ「怪獣8号」第17話より / (C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

■喪失から立ち上がる三者三様の人間ドラマ

一方、カフカもまた、己の無力さを噛み締めていた。鳴海と同じように、功を救えなかったこと、9号を仕留めきれなかったことへの後悔が彼を苛む。しかも、カフカの体には怪獣の進行化という重大な異常が発生していた。8号の力は絶大だが、その力の使用には大きなリスクが伴う。このまま変身を続ければ、いずれ人間に戻れなくなるというのが防衛隊研究員による見立てだった。

鳴海はカフカのそんな状態を百も承知で、「力を貸せ、日比野カフカ」と共に戦うことを求める。自身が一番の強者だと、常に自信に満ちあふれていた鳴海が初めて見せた悔しさとリベンジの感情。“本当の悔しさ”を知るカフカも、その想いは同じだった。この前にアニメオリジナルで挿入されたモンスタースイーパーとのシーンは胸が熱くなるシーンだったが、カフカはこのときすでに、たとえ人間に戻れなくなっても戦い抜く覚悟を固めていたのかもしれない。

人ならざる力を持つがゆえに、その代償と向き合わねばならないカフカの葛藤。最強部隊を率いる鳴海が見せた再び立ち上がる強さ。悲しみを乗り越え、強くなると決めたキコルの決意。本話は、三者三様の「強くなりたい」という想いを静かな会話劇の中で描き、視聴者の心を強く揺さぶった。

放送後のSNSには、「いろいろ胸が痛くなる回だった」「派手なバトルがなくてもドラマだけで十分おもしろい」「モンスタースイーパーの仲間たちに会いに行くアニオリ良かった。カフカ、すごい覚悟決めてんじゃん」といった感想が数多く寄せられていた。

アニメ「怪獣8号」第17話より
アニメ「怪獣8号」第17話より / (C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

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