動物病院の不注意で火災が起き、入院させたペットの愛犬が死んだとして、東京都内に住む飼い主の60代男性が4日、病院側に300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。飼い主側は「我が子同然の愛犬と突然に別れることになり、多大な精神的苦痛を受けた」と訴えている。
死んだのは5歳の雄犬の「ミエル」。マルチーズとトイプードルのミックスだった。飼い主によると、人なつっこい性格で、夫婦で大切に育てていたという。
訴状によると、ミエルはヘルニアと診断され5月に都内の動物病院で手術を受けた。体調が回復するまで入院することになったが、3日後の朝に建物の一部が燃える火災が発生。煙を吸い込み死んだとしている。
飼い主側は、火災後の病院側の説明から、火元は病院で使っていたバリカンで、劣化した充電用コードで長時間充電を続けたことが原因だと主張。預かった犬の安全を確保する注意義務を負っているのに、点検や管理を怠ったとしている。
病院はホームページで火災の事実を公表したが、謝罪の言葉はなかったという。提訴後に記者会見した飼い主は「病院はミエルをモノのように扱い、悲しみを逆なでした」と憤った。
飼い主側代理人の渋谷寛弁護士は「ペットの死に認められる慰謝料額は今も低いが、裁判所は飼い主の精神的苦痛を理解してほしい」と語った。
病院側は「訴状を見ていないのでコメントを控える」とした。【安元久美子】
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