貧困にあえぐ日本の子ども 「声届けたい」 支援団体事務局長の決意

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セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの髙井明子事務局長=東京都千代田区で2025年6月30日、猪飼健史撮影
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの髙井明子事務局長=東京都千代田区で2025年6月30日、猪飼健史撮影

 自然災害の被災地や紛争地をはじめ世界約110カ国・地域で子どもの支援活動を展開する国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」。その日本組織である公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、日本国内の子どもの貧困問題や被災地支援にも力を入れる。

 事務局長を務める髙井明子さん(54)は「厳しい状況にある子どもや家庭への直接支援だけでなく、子どもたちの声を行政や社会に届け、子どもの権利が守られる世の中にしたい」と訴える。【聞き手・桐野耕一】

 ――近年、国内の子どもたちの支援に力を入れていると聞きました。

 ◆きっかけは2011年発生の東日本大震災です。

 災害の規模が大きく、岩手、宮城、福島の3県に事務所を設置し、緊急備品や学用品の配布、子どもが安全に過ごせる場所の設置など、海外スタッフの協力も得て5年間にわたり緊急・復興支援を行いました。

 その中で国内における子どもの課題が多く見えてきて、これまで以上に取り組むことにしたのです。それまで国内事業に携わるスタッフは数人でしたが、現在は約80人いる職員の約2割が担当しています。

 まず取り組んでいるのが子どもの貧困問題。物価が高騰して最近は米も値上がりし、子どものいる経済的困難な状況にある世帯の生活はかなり苦しい。給食のない夏休みや冬休みに子どもの食を支えるため、長期休みに合わせ年延べ約1万世帯に無料で食品や文房具を送っています。

 妊娠中のひとり親世帯や低所得世帯に育児用品を無償提供したり、中学・高校の入学にかかわる費用の一部を支援したりする活動も行っています。

被災地で緊急支援

 被災地の子ども支援も重要です。

 東日本大震災以降も、16年の熊本地震、18年の西日本豪雨、19年の台風19号被害、そして昨年発生した能登半島での地震と豪雨被害でも被災地で子どもたちへの緊急支援を実施しました。

 避難生活では、子どもへの支援は大人より遅れがちです。私たちは乳児用のお尻ふき、水のいらないシャンプーといった衛生用品や遊び道具などを詰め合わせた緊急子ども用キットを5年前から準備し、避難所などで子どものニーズを聞き取りながら提供しています。

社会を変えるためのアンケート

 ――支援物資を送った困窮世帯や被災者らを対象に、アンケート調査を実施しています。

 ◆子どもの貧困問題でも直接支援できる世帯数は限られています。私たちは支援対象の方々にアンケートに協力してもらい、結果を公表して社会や制度を変えていきたいと考えています。

 昨年の調査では3歳以下の子どもがいる480世帯のうち約4~5割が、経済的理由で粉…

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