お盆休みシーズンに突入した8月8日から8月10日までの全国映画動員ランキングが発表。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中) が引き続き首位を守り、4週連続No.1を達成するなか、今週も注目のビッグタイトルが続々と公開。そのなかでもスポットライトを当てたいのは、やはり2位に初登場を果たした『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(公開中)だ。
■今年公開の洋画作品No.1のオープニング!“新章”が堂々幕開け
言わずと知れた「ジュラシック」シリーズにおいて、新章の幕開けとなる『ジュラシック・ワールド/復活の大地』。初日から3日間の成績は、観客動員71万5467人、興行収入11億3297万1700円。この数字は今年公開された洋画作品でNo.1のオープニング成績であり、邦画作品を含めても第3位の見事なスタートダッシュ。また、“山の日”の祝日となった月曜日を含めた4日間の累計成績は動員98万323人、興収15億3675万7790円となっている。
世界的ヒット作が日本でだけ伸び悩むことも少なくないなかで、「ジュラシック」シリーズは例外。スティーヴン・スピルバーグ監督が手掛けたシリーズ第1作『ジュラシック・パーク』(93)はいまなお日本歴代興収ランキング30位に入る興収128億5000万円を記録しており、それを皮切りにシリーズ6作すべてが興収50億円を突破。6作の合計興収では514億円にものぼる。
とりわけ誇るべきは「パーク」3部作から「ワールド」3部作、そして今回の新章へと代が変わってもその安定した人気を維持しているところ。もっぱらそれは、恐竜が生きているという“映画でしか観られない”体験価値の強さにほかならないのだろう。しかし一方で、今作のオープニング成績に一切の不安がないわけではない。先述の初日から3日間の成績は、最終興収63億2000万円だった前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(22)との対比で動員が85%、興収が87%とわずかに下回っている。
また公開4日間の成績も、同じように夏休み期間中の祝日に連なる週末に公開され、最終興収80億7000万円を記録した『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(18)との比較で動員が68%、興収が73%。もちろん、『鬼滅の刃』に劇場スクリーンの大半を占有されている不利なタイミングが影響しているといえよう。単純に計算すれば、今作の最終興収は50億円台後半で落ち着いてもおかしくなく、かろうじて『新たなる支配者』に届くかどうかというライン。それでも大ヒットには違いないが、「ジュラシック」シリーズならばもっと伸びて然るべき。
現時点で“新章”の続行は決定していないが、すでに今作の全世界興収は8億ドルを突破しており、シリーズ人気も鑑みればその可能性も低くはない。以前、北米興収の分析記事で、「パーク」3部作も「ワールド」3部作もそれぞれ1作目から徐々に成績を落とす傾向にあることを指摘したが、それは日本でも同様。ないとは言い切れない“今後”もシリーズ全作で興収50億円突破という貫禄を保つためには、まず今作でその大台をいかにスムーズに突破できるか。シリーズファンとして、期待を込めて見守っていきたい。
■『クレヨンしんちゃん』『近畿地方のある場所について』が初登場!
さて、公開4週目も他を寄せ付けない快進撃をつづける『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。週末3日間の成績は動員130万9500人、興収19億1900万円と、前週末比はそれぞれ75%、78%。一見するとやや数字を落としているようにみえるが、前週の月曜日から8月11日までの8日間で動員313万9620人、興収44億3263万3900円を上乗せしており、1日あたりの平均動員数は前の週との比較で80%ほどをキープしている。
その8月11日までの公開25日間の累計成績は、動員1569万8202人&興収220億7219万1500円。これは前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)の公開24日間の累計成績である1537万4000人&興収204億8000万円と遜色ない数字といえよう。すでに日本歴代興収ランキングでは『ONE PIECE FILM RED』(22)を抜いて6位に浮上。次週末にはMX4D/4DXの先行上映もスタートする予定となっており、さらに上位にいる錚々たる顔ぶれを悠々と超えていくはずだ。
新作タイトルは『ジュラシック・ワールド/復活の大地』以外に2本がランクイン。4位に初登場を果たしたのは、「クレヨンしんちゃん」の劇場版第32作となる『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』(公開中)。全国372館で公開され、初日から3日間で動員36万3000人、興収4億5000万円を記録。祝日を含めた4日間では動員51万6186人&興収6億3327万8100円となっている。
菅野美穂と赤楚衛二がダブル主演を務め、気鋭のホラー作家・背筋による同名小説を映画化した『近畿地方のある場所について』(公開中)は6位にランクイン。初日から祝日までの初動4日間で動員31万8000人、興収4億4000万円と、今年好調が目立つ邦画実写ホラー映画のなかでも出色のスタートを飾った模様。
ちなみに配給のワーナー・ブラザース映画によると、作品の舞台である“近畿地方”での興行成績が過去の同社配給作品の平均を上回っているとのことで、特に滋賀県では平均対比152%、奈良県では同145%という興味深い数字も出されている。8月13日(水)からは韓国、8月25日(月)から台湾での公開も決定しており、今後の広がりに注目だ。
前週2位に初登場を果たした劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(公開中)は、週末3日間で動員39万7000人、興収5億5600万円を記録して3位に。累計成績では動員170万人&興収22億円と引き続き好調をキープしている。
そして公開10週目を迎えた『国宝』(公開中)は5位となり、累計成績で動員677万人&興収95億3000万円を突破。日本歴代興収ランキングでは55位まで浮上しており、邦画の実写作品では歴代5位。『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(03)以来22年ぶりに、実写邦画が興収100億円に到達する瞬間が目前まで迫ってきた。
以下は、1〜10位までのランキング(8月8日〜8月10日)
1位『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
2位『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
3位『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』
4位『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
5位『国宝』
6位『近畿地方のある場所について』
7位『星つなぎのエリオ』
8位『事故物件ゾク 恐い間取り』
9位『仮面ライダーガヴ&ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー Wヒーロー夏映画2025』
10位『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
今週末は、鈴鹿央士と山田杏奈が声の出演を果たしたSTUDIO4℃制作のアニメーション映画『ChaO』(8月15日公開)、実在の駆逐艦「雪風」の史実をもとにした竹野内豊主演作『雪風 YUKIKAZE』(8月15日公開)、ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワース共演のサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』(8月15日公開)などが控えている。
文/久保田 和馬
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