(書肆侃侃房・2970円)
詩作と評論の両輪で60年以上にわたり詩誌の活動を続けてきた90歳の北川透と、ほとんどの詩集の装丁を手掛けてきた毛利一枝が、詩人と装丁家という関係を超えて共作した「詩と写真集」。鋭く切り込む詩の言葉に、表現者としての毛利のモノクローム写真51枚が時に呼応し、また時に抵抗して距離を取りながら、読者の想像力をかき立てる。
題名につながる詩が240行あまり、16ページに及ぶ「ダリアと殺虫剤(わが<脱獄>について)」。「老い先短く なお生きて/いま ここに幽閉されているのは なぜだろう」と閉塞(へいそく)感に満ち、擬人化されたダリアと殺虫剤に「ただの一匹の虫として消されるだろう」と結ぶが、全ての終わりは感じさせない。空へ飛び出すようなパーカの男の写真が詩と響き合うように「脱獄」を感じさせる。
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