政治家が使いたがる用語というものは、もう手あかがつきまくっていてまるでコントのセリフにしか聞こえない表現がいくつもある。
「記憶にございません」は、偽証罪に問われないための保身の呪文でしかないし、「誠に遺憾であります」という言葉に誠はなく、謝る気もないのにわびたふりをするまじないの言葉だ。「重く受け止めます」は0・1グラムの重さもないし、「適切に判断します」は不適切な判断をごまかす言葉だ。本当に心のこもっていない言葉ばかりであきれてしまう。
「一丁目一番地」という表現がある。慣用句のようになっているけれども、それほど古い言葉ではなさそうだ。文脈から察するに、優先順位が最も高いということなのだろう。しかし、「最優先課題」「最重要課題」ではなく、なぜ住所に例えるのだろうか。2丁目や3丁目よりも1丁目が優先されるのはどうしてなのか。2番地、3番地よりも1番地が重要なのはなぜなのか。細か過ぎることだけれども、いささかの違和感を覚える。
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