明日『あんぱん』では嵩の「詩入りの陶器」が登場 やなせたかしとサンリオ社長が出会ったのはコレのおかげだった?

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懐かしの「ピエロチャイム」も作ってた

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんと妻の暢さんをモデルにした2025年前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』第22週107話では、「柳井嵩(演:北村匠海)」が、恩人で「九州コットンセンター」の社長である「八木信之介(演:妻夫木聡)」が106話終盤で出したアイデアで、詩とイラストが入った陶器のグッズを販売し、ヒットすることが予告されています。

 こちらはやなせさんも実際にやった仕事ですが、八木の「モデル」に当たる人物の関連は時系列が違いました。自伝『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)によると、1965年6月に「みわ工房」という陶器の工房を営んでいた三輪宏さんという人物が、やなせさんのもとへやってきたそうです。

 戦時中はパイロットをしていたという三輪さんは、面識のなかったやなせさんに「陶器やりませんか」と提案し、仕事を断らないやなせさんは、実際に愛知県瀬戸市や岐阜県多治見市など陶器の本場を訪れてやり方を学びます。本人曰く「手先が不器用で下手でした」とのことですが、やなせさんは陶器つくりに夢中になったそうです。

 その後、やなせさんは自分の陶器ができた喜びで、銀座松坂屋で創作陶器展まで開きました。その際に、こんなことがあったといいます。

「コップに下手な詩を描いたものを冗談半分に出したら、よく売れて、しばらく茶碗とか皿に詩と絵を描いて売ることで生計をたてておりました」(『人生なんて夢だけど』より)

 かなりのヒット商品だったようで、後年にも多くの人から「「先生の名前を初めて知ったのは湯呑み茶碗です」などと言われたそうです。

 その後、1967年4月には三輪さんの提案をきっかけに、やなせさんはかわいらしいピエロのイラストと「ならしておくれ ピエロのチャイム」といった詩が書かれた「ピエロチャイム」を作り、こちらもヒットしました。

 三輪さんとの仕事をしているなかで、やなせさんはさまざまな企業の関係者と出会います。そんななか、やなせさんがあるときの陶器展で名刺交換をしたのが、八木のモデルと思われる山梨シルクセンター(のちのサンリオ)の社長、辻信太郎さんでした。

 当時、社員数人の山梨シルクセンターは、サンダルにハンカチ、お菓子のケースまでさまざまなグッズを手あたり次第作っていたそうで、辻さんは最初、やなせさんに依頼して飴玉入れを作ってもらいます。

 そしてその後、やなせさんがラジオドラマの仕事でたくさん書いていた、自作の歌をまとめた詩集を自費出版するつもりであることを辻さんに話すと、彼は「出版して書店で売りましょう」と提案し、社内で急造の出版部を立ち上げました。そうして、やなせさんの処女詩集にして、サンリオにとって初の出版物『愛する歌』(1966年)が完成し、5万部を超えるヒットとなります。

 その後もやなせさんと辻さんの関係は続き、山梨シルクセンターがサンリオと名を変えた1973年4月、やなせさんが責任編集を務める詩と絵を扱った雑誌『詩とメルヘン』が創刊されました。辻さんはこのとき、120万円を出資しています。

『あんぱん』八木は辻さんだけでなく、三輪さんの役割も担い嵩を支えていくようです。107話では八木が詩集を作ることも提案するそうで、『愛する歌』誕生ももうすぐでしょう。来週には『詩とメルヘン』が創刊されるかもしれません。

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