横浜流星“蔦重”の心に残り続ける亡き人の言葉「我が心のままに生きる」に基づいた行動がアツい<べらぼう>

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苦しい時代に蔦重(横浜流星)の胸の中にある言葉がよみがえる
苦しい時代に蔦重(横浜流星)の胸の中にある言葉がよみがえる / (C) NHK

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第32回「新之助の義」が8月24日に放送された。大坂で始まった打ちこわしが、ついに江戸で起きようとしていた。その展開の中で蔦重(横浜)の心に、ある人の言葉がよみがえった。(以下、ネタバレを含みます)

■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く

森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波瀾(はらん)万丈の生涯を描く痛快エンターテインメントドラマ。

蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎の一つといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。

幕府“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙、美人画が大評判となる喜多川歌麿役で染谷将太、蔦重の妻・ていで橋本愛らが出演。語りを綾瀬はるかが務める。

■江戸市中にも忍び寄る“打ちこわし”

意次を信頼していた10代将軍・家治(眞島秀和)が亡くなり、幕府内ではにわかにさまざまな思惑がうごめいた。一方、江戸市中の人々はいまだに満足に米が手に入らない状況に不満を募らせていった。それは意次への恨みでもあった。

その恨みは妻子を亡くした新之助(井之脇海)の長屋を訪ねた蔦重にも向けられる。蔦重の元にいる戯作者や絵師のことを「田沼の金でジャブジャブ遊んでたやつら」と指摘し、蔦重に対しては「てめぇは田沼の世でうまくやった口」と批判。新之助さえも「吉原と、そこに落ちてくる田沼の金で財を成した。ひょっとすると、田沼の世で一番成り上がった男かもしれぬ」と言ったのだ。

やがて大坂で打ちこわし(※米屋や裕福な商人などの家屋を襲撃し、家財を奪うこと)が起き、その動きが江戸へと近づいていた。蔦重は意次の側近・三浦(原田泰造)に頼まれ、お救い米が出るという摺物(すりもの)を作成して市中に配る。だが、その期日までに米が用意されることはなかった。

■打ちこわしへと動く新之助に蔦重が取った行動

奉行所の前に集う市中の人々の様子を見た蔦重は、打ちこわしが起きると感じ取る。打ちこわしという形で声を上げようとする人の中に新之助もいた。

新之助や新之助と同じ長屋に住む者たちに怒りをぶつけられた蔦重。その脳裏に今は亡き平賀源内(安田顕)の言葉がよみがえる。

「自らの思いによってのみ、我が心のままに生きる。“わがまま”に生きることを自由に生きるっつうのよ」。

蔦重は打ちこわしの準備をする新之助たちの元へと向かう。真っ白な布を差し入れ、「新さんは声を上げりゃいいでさ。我が心のままに、わがままに生きていいんだって源内先生も言ってたんだし。これに思いを書いて、幟(のぼり)を作っちゃどうです?その方が間違いなく伝わりまさ。新さんたちがいってえ何に怒っているのか」と告げた。

ただし、値段の張る布をタダで渡す代わりとして自分の「わがまま」も聞いてほしいと願った。それは「誰一人捕まんねぇ、死んだりしねぇこと」。

長屋の者たちは「善人ぶりやがって」とののしったが、蔦重は決して引くことはなかった。「俺ゃ、皆さんと一緒に笑いてぇんでさ」と真っすぐに思いを伝える。

そして「カラッといきてぇじゃねえですか、江戸っ子の打ちこわしは。血なまぐせえ野暮な斬り合いは、お侍さんに任せてね」と言うと、新之助がその意味を「けんか」にすることだとくみ取る。「米を盗んだり、斬りつけたりしなければ、それはただの米屋とのけんかで済む。大した罪にはならぬ」と。

「火事と喧嘩(けんか)は江戸の花」という言葉がある。火事が多く発生したことによる火消しの働きぶり、そして喧嘩っ早い江戸っ子気質を指したものだ。蔦重はそれを逆手にとる策を軽やかに伝えたのだ。

源内の言葉は第5回で描かれ、板元になりたかった蔦重の背中を押した。その考えは日本橋に店を構えるまでに成長した今も蔦重の心に残り続けていた。それが源内と行動を共にしていた新之助へとつながるのもアツい。

視聴者からは「蔦重の中には源内先生が生き続けているんだなあ。新さんの中にも」「源内先生の回想シーン、じーんときた」「この世にはいない源内先生の言葉が蔦重にヒントを与えてくれることに感動している」といった声が寄せられた。言葉や文章を生業にし、いつものように鮮やかな機転もきかせた蔦重の思いがどうなっていくのか、注目だ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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