/440 上田岳弘 倉田悟・絵

/440 上田岳弘 倉田悟・絵

 彼人(かのひと)は不審そうな表情で開かれた扉から部屋に入って来る。 「彼人よ、大変失礼しました。ユミダイと少し話したいことがありましてな」  彼人に驚いている様子はなかった。ただ、壁博士の言ったことを受け止め、理解したことを示すためにか、頷(うなず)いて、それから部屋を見回した。僕と目が合うと、また小さく頷いた。...