現在NHK BSにて7時15分から再放送されている連続テレビ小説『チョッちゃん』(1987年前期)が「掘り出し物の名作」と話題だ。黒柳徹子の母・黒柳朝さんによるエッセイ『チョッちゃんが行くわよ』を原案とし、脚本は大河ドラマ『義経』(NHK総合)などで知られる金子成人氏がつとめている。
『チョッちゃん』のヒロインの座を芸能界デビューから3年で射止め、主人公・蝶子を演じたのが俳優・古村比呂さん(59)。38年前の朝ドラ出演について、子育てと仕事、そして13年におよぶがん闘病について語ってくれた(全3本の1本目/ 続き を読む)。

古村比呂さん ©︎文藝春秋 撮影・橋本篤
牛乳瓶メガネにボロボロの格好なのに「観てるわよ!」
――『チョッちゃん』すごく面白いですね。毎朝楽しみに拝見しています。
古村比呂(以下、古村) ありがとうございます。私もできるだけ毎朝7時15分から観るようにしています。なにしろ「毎朝観る」という体験が初めてで。38年前の本放送時は全然観られなかったんですよ。一応自分でビデオに録画はしてましたけど、観る時間がなかった。撮ったものがどう映っているのかを知らずに演じていました。
――当時の視聴率は40%くらいありましたし、反響も大きかったのでは?
古村 たしかになんとなく反響は伝わってきました。私は重度の近視で、当時プライベートでは牛乳瓶の底みたいな分厚い眼鏡をかけていたので、どうせ誰にも気づかれないだろうと思って近所のスーパーに買い物に行ったんです。ところが、すぐにご婦人方から「『チョッちゃん』観てるわよ!」と声をかけられて。牛乳瓶眼鏡にボロボロの格好でいたのにですよ?(笑) それだけ朝ドラというのは、たくさんの方に観ていただいているんだなと実感しました。
――朝ドラの撮影はコンタクトをつけて?
古村 どうしても必要なときだけつけてました。今ではあり得ない話ですが当時は朝9時から夜中2時ぐらいまでずっと撮影をしていたので、コンタクトがもたないんですよ。だから、裸眼で撮っている時間も多かった。よく見えないなかでお芝居をしていました(笑)。
「オーディションでは、歌がすごく苦手だったので……」
――約680人の応募者の中からヒロイン・蝶子役に選ばれましたが、オーディションのときのことは覚えていらっしゃいますか?
古村 朝ドラのヒロインオーディションは『チョッちゃん』が2回目だったんです。前の年の『都の風』(1986年後期)で初めて受けて、落ちまして。もし『チョッちゃん』で受からなかったら、もうこの世界に区切りをつけて地元の北海道に帰ろうと思っていました。だから2回目は「悔いのないように、好きにやろう」と思って。
『チョッちゃん』のオーディションでは、最後のカメラテストまで作品の内容とか、どういうヒロインを募集しているのかとか、一切知らされませんでした。ただ歌の審査があって、私は歌がすごく苦手だったんです。それで、自分で書いた詩に友達がメロディをつけてくれた曲を歌いました。それなら、上手いか下手か誰もわからないだろうと思って(笑)。
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