俳優・タレントの野呂佳代が、8月1日(金)に公開される映画「星つなぎのエリオ」に日本版声優として出演する。同作は、「トイ・ストーリー」をはじめ「リメンバー・ミー」や「インサイド・ヘッド」などを世に送り出してきたディズニー&ピクサーによる感動のファンタジーアドベンチャー。地球から何光年も離れた遠い星の世界を舞台に、両親を亡くしひとりぼっちになってしまった主人公の少年エリオと心優しいエイリアンの冒険と友情を描く。
AKB48グループ卒業後はドラマに映画、バラエティー番組、情報番組と幅広いジャンルで活躍する野呂。特に連続ドラマは現在7クール連続で出演中ということで、まさに引っ張りだこ。今作では、豊富な知識を持つお助けコンピューター「ウゥゥゥゥ」の声を担当している。WEBザテレビジョンではそんな野呂にインタビューを行い、大好きなディズニーへの思いやアフレコの裏側、人生の転機となった“運命の出会い”などについて語ってもらった。
■「本編が始まる前に号泣しちゃいました(笑)」
――今回はオーディションを受けたそうですね。
もともとディズニーが大好きで、東京ディズニーシーでキャストを務めていたこともあるんです。ディズニーに関係があるお話を頂くことはとてもうれしいですし、思い入れが強いからこそ自分の中でハードルが高いと感じる部分もあるんです。
オーディションに受かったと知ったときはめちゃくちゃうれしくて。日を追うごとに感動が増していって、当時公開されていた「リロ&スティッチ」を見に行ったら「星つなぎのエリオ」の予告が流れたんです。その予告編はとても素晴らしかったですし、まだ出演情報が発表されていなかったんですけど、この作品に自分も出るんだと思ったら感動して本編が始まる前に号泣しちゃいました(笑)。
――大好きなディズニー&ピクサー作品の声優を務めるというプレッシャーはありましたか?
アフレコのときのプレッシャーはすごかったです。今でも皆さんに喜んでもらえるのかという不安がありますけど、それよりもディズニー関連のお仕事ができる喜びのほうが大きい。たぶん、これから公開日まで毎日、毎日いろいろな感情が出てくるのかもしれません。
――ウゥゥゥゥを演じる際にどんなことを意識しましたか?
ウゥゥゥゥはお助けコンピューターということでかわいらしいんですけど、ズバズバとはっきりいろいろなことを言ったりもする。アフレコのときはウゥゥゥゥだったらこのときにどういう声を出すのか。ちょっと面白く言ってみたらどうなるだろうとか、いくつかのパターンを試してみました。
監督からアドバイスを受けつつ、自分のアイデアも織り交ぜながらやらせてもらったことはいい経験になったと思います。
■印象的なせりふは「どこか戦隊っぽい感じを…」
――印象に残っているせりふはありますか?
「重力オン!」というせりふがあって、あれも何パターンか録りました。よく聞いてもらうと、ちょっとそこだけは面白く言っているんですよ。どこか戦隊っぽい感じを楽しんでもらえたらうれしいです。
――あらためて自分の声を聞いてみてどんな印象を受けましたか?
もともと私のお母さんの声がとても好きで、自分の声を客観的に聞いたときにどこか似ているなと感じる部分があったんです。それがすごくうれしくて、あの大好きな声をちょっとでももらえてよかったなと思いました。ただ、バラエティー番組でのガヤは、自分でもうるさいなと感じることがあります(笑)。
――作品全体の世界観についてはどのように感じていますか?
主人公のエリオは孤独な環境の中でいろいろな愛情を受けながら成長していくんです。もちろん試練もたくさんありますけど、そこで生まれる愛みたいなものを一つ一つ受け取って最後に一番大切なものに気付く。
試練を受けて愛を知るという部分が私の人生と重なるところがあって。私もいろいろなピンチがありましたけど、自分の親はもちろんそのときに出会った方たちからたくさんの愛情をもらって成長してきたなと感じているんです。それをエリオは11歳でちゃんと理解している点が素晴らしいですよね。
■「あの出会いが自分の人生の転機だったのかな」
――どんな出会いが“人生の転機”になりましたか?
やっぱり、秋元康先生とAKB48との出会いです。そこが今の自分の基本になるところ。そのときに足りなかったもの、やっていて足りていなかったことは今になって分かることがたくさんあるんです。
本当はそのときに気付かないといけなかったんですけど、私は失敗したことによって周りから愛を頂いて気付くタイプ。そういう意味では、あの出会いが自分の人生の転機だったのかなと思います。
――演じたウゥゥゥゥは何でも知っているコンピューターです。野呂さん自身は普段の生活の中でAIを活用することはありますか?
最近、ちょっとしたネタを作らないといけない仕事があったんです。ネタといってもそんなに大それたものではないんですけど、自分のアイデアだけだと限界があるかなと思ってChatGPT(対話型AI)に聞いてみたら結構まともな答えが返ってくるんですよ。それを参考にしながらネタを考えました。
――何かキーワードを入れて聞いたんですか?
ざっくりしたものだとそれなりの答えしか返ってこないんですけど「もっと知りたいですか?」って次々と聞いてくるからいろいろなワードを入れてみました。
そのうちに似たような答えしか出てこなくなるので、そこがAIとしての答えの限界なのかなと感じたりして。自分に足りないものを補ってくれるという意味ではとても便利ですよね。
■「自分がやれることは全部やりたいですし、頑張りたい」
――バラエティー番組はもちろん、俳優としても映画やドラマ、舞台など話題作への出演が続いていますけど、ご自身の現状についてはどのように受け止めていますか?
よく「バラエティーと俳優、どっちがやりたいの?」とか「本当は何がやりたいの?」って聞かれるんですけど、私は自分がやれることは全部やりたいですし、頑張りたい。
その信念だけはずっと昔から変わっていません。体力が続く限りいろいろなことに挑戦していきたいですし、楽しい人生にしたいです。
――最後にちょっと大喜利っぽい質問になってしまいますが、エイリアンに地球の素晴らしさを伝えるとしたら何が思い浮かびますか?
「お笑い」って面白いよって伝えたい! 例えば、今の時代は表現の仕方が難しいかもしれないですけど自虐ネタができるってすごいことだし、それがちゃんと笑いになるところがいいなと。
あくまでも感覚的なものだから宇宙の人がそれを面白いと感じるかどうかは分からないですけど、同じ地球でも国によって変わってくるんじゃないかなって思うとジャンルの幅が広いし、いろいろな楽しみ方ができるところが魅力的だなと思っています。
映画「星つなぎのエリオ」は劇場公開中、ピクサー過去作はディズニープラスで配信中。
◆取材・文=小池貴之
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