俳優の北村匠海(27)がNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で「アンパンマン」の生みの親・やなせたかしさんをモデルとした柳井嵩を好演している。第18週にして、女優の今田美桜(28)演じる幼なじみ・のぶと結ばれた。ようやく夫婦となったことに「純粋にうれしい」と語る北村に、今田との撮影秘話や名シーンの舞台裏を聞いた。(那須 日向子)
<以下、ネタバレあり>
のぶを追いかけ上京した嵩。2人はついに結ばれオンボロアパートでの生活が始まった。「奇麗…」トイレの天井の穴から見える星空を見上げるのぶ。「嵩と会えてほんまに良かった」。北村は、晴れて夫婦になり「純粋にうれしいです」とはにかむ。
“穴あきトイレ”はやなせさんの史実通り。制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)はこのシーンを「あんぱんの企画段階から絶対に映像化したかった」という。「やなせさんの自伝等でも振り返っておられて、天井に穴が開いているから、雨の日には傘を差しながら、晴れた日には満天の星が見える。そんな暮らしを面白がり、どんな環境でも楽しめるこの人と一緒にいたいとやなせ夫妻はそれを凄く幸せだと感じていたことを知り素敵だと思いました」とシーンへの強いこだわりを明かす。
嵩とのぶはそのトイレの前でキスを交わした。北村は「初めてキスをするのですが、冷静になると目の前は小便器なんですよ(笑い)。凄いロマンチックなんですけど…小便器を見ながらキス。そこがのぶと嵩らしいなと思います」
夫婦の象徴的なシーンだがあくまで自然体で臨んだ。「大切なシーンなのは分かっていましたが、逆に意識することはなかったです。今まで通り何の気ない会話の中で生まれるものだったので」
ナチュラルな空気感は撮影前から始まっていた。シーン直前、夜食にチキンを頼んだという。「一緒に食べました。“そういえば、この後キスシーンじゃん。ま、いいか”って2人で話しました」と今田との飾らない会話を明かす。「自然に気張らず臨めたのが良かったなと思います」
倉崎氏も「こういうシーンの収録ってスタッフもソワソワして現場入っていない者もみんな見に行きたくなるのですが、他のシーンと同じように“日常の一つ”としてそっとのぶと嵩を見守ろうと事前にスタッフ陣には声かけして、普段の環境を作ることを心がけました。結果、凄く良いシーンになっていました」と振り返る。
今田との自然な会話、いつも通りの撮影。その甲斐もあって「一発撮り」だった。北村は「周囲も普段通りでいてくれたことがありがたかったです。あまりにも日常的すぎて、僕らも何の違和感もなく“お疲れ様”と帰りました。僕達らしいなという感じでしたね」と昨年9月のクランクインから紡いできた今田との空気感、スタッフとの連携が生み出した名シーンだった。
小学生の時に高知で出会い、戦前、戦中、戦後と激動の時代を乗り越えようやく結ばれたのぶと嵩。「今田さんとはピッチャーとキャッチャーではなくキャッチボールの関係性です。“くらえ!”と投げるのではなくて、コントロールは悪いけど、優しいふわふわとした少年少女のキャッチボールがずっと続きます。一方でそれが危うくもあるので、ちゃんとのぶと嵩にはケンカもしてほしいです」と嵩夫妻の幸せに願いを込めた。
北村匠海「あんぱん」キスシーン裏側「僕達らしい」穴あきトイレで…今田美桜とは「キャッチボール」の関係
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