国は黙殺 責任担う「刻む会」
周防灘は鏡面を張ったように穏やかな表情を見せている。だが、床波(とこなみ)海岸(山口県宇部市)の浜辺から沖合に目をやると、妙な“違和感”に襲われて気持ちが波立つ。海面から突き出た2本の円筒――海中に土管を埋め込んだかのような不自然な光景は、この海の底に、かつて炭鉱があったことを示している。
1914年に開坑し、終戦時まで操業を続けた長生炭鉱である。最盛期には年間15万トンの石炭を産出した海底炭鉱だ。2本の円筒は、炭鉱内の換気や排水のために設けられた排気筒である。
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