「にんげんをかえせ」の一文で知られる「原爆詩集」を著した広島の詩人、峠三吉(1917~53年)は、たった1冊残した代表作に続いて何を世に問おうとしたのか。遺品にあった未発表の詩や散文、短編小説などの草稿やメモの整理を進めると、原爆を投下した米国による被爆者調査への怒りが浮かび上がってきた。原爆詩人の創作過程をうかがわせる資料の解析は被爆80年の夏も続いている。
市民団体「広島文学資料保全の会」が、峠の遺族から2015年に預かった草稿やメモ類、書簡など50点以上を読み解いている。わら半紙などに書かれた草稿には推敲(すいこう)を繰り返した跡が残り、鉛筆で文言を走り書きしたメモもある。
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