確定拠出年金「なぜ預金選ぶ?」金融庁レポートの深層

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 老後資金作りのための確定拠出年金(DC)は、加入者が運用商品を選んで資産を増やす仕組みだが、定期預金など元本確保型商品を選ぶとインフレでは実質資産が減ってしまう。金融庁は2025年6月に公表したレポートで、金融機関によって元本確保型を選ぶ人の割合の差が大きいと指摘した。金融機関には加入者が適切に商品を選べる情報提供が求められるが、背後にはより根深い課題も控える。

元本確保型では実質資産が目減り

 DCは老後資金作りのための私的年金だ。企業が従業員のために準備する企業型DCと、個人が自助努力で行うイデコ(iDeCo)がある。

 企業型DCは企業が、イデコは加入者が、それぞれ掛け金を拠出する。加入者は掛け金を自分の判断で運用し、その結果に基づき、老後の年金額が決まる。

 DCには税制上のメリットがある。まず、掛け金は課税の対象外だ。また、通常、金融商品の運用益には税率約20%で課税するが、これも非課税だ。

 加入者の資産管理は、銀行、証券、生損保など、国の承認を受けた「運営管理機関(運管)」が担っている。

 運管は、投資信託など投資型商品、預金や保険など元本確保型商品などからなる商品ラインアップ(最大35本)を用意する。加入者はそのなかから自身の運用商品を自由に選べばいい。

 だが、DCでは長年、その選び方が課題とされてきた。資産の半分以上は元本確保型に偏り、その結果、超低金利にあって、資産がほとんど増えず、税制優遇の恩恵も小さくなるという問題があった。

 ここ数年で、投信を選ぶ人の比率が高まり、状況は変わりつつある。24年9月末では資産残高ベースで投信が7割、元本確保型は3割に縮小した。

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