相続対策「賃貸マンションの生前贈与」が好まれる理由

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 ここ数年、確定申告では、不動産の譲渡申告や贈与税の申告の件数が増えている。この背景には、不動産価格が上昇するなか、相続対策を見据えた資産の組み替えのチャンスと見る動きがある。

「不動産組み替え」の動き

 国税庁によると、2024年分の確定申告で、土地の譲渡所得における所得金額は6兆4993億円(前年比6.8%増)となり、現行の株式譲渡益課税制度が導入された2003年以降最高となった。贈与税の申告納税額は3935億円(同10.9%増)で過去最高だった。

 また、同庁によると、25年1月1日時点の路線価は、全国の調査地点平均で4年連続上昇し、上昇率も10年以降で最も大きくなった。

 この二つの動きには関係があるようだ。

 不動産価格の上昇は、所有者にとってみればうれしい出来事ではあるが、相続税の負担上昇に直結する。24年からは、タワーマンションの相続税評価額と実勢価格の差を利用した「タワマン節税」を抑止する算定方法が導入されており、ダブルパンチで影響を受けた人も少なくない。

 そこで、高齢者が、将来の相続に備え、不動産の組み替えを行う動きが目立っている。

 老朽化したビル資産などの不動産を売却し、その資金で、築年数の浅い「築浅」の賃貸マンション物件を買い直し、所有不動産を「売りやすく、貸しやすい」よう組み替えているのだ。これが不動産の譲渡申告を押し上げている。

 相続対策を目的とするなら、本来であれば、本人が亡くなるまで所有し続けるはずだが、最近は、その前に子世代に生前贈与することも増えている。こちらが、贈与税申告の増加につながっているようだ。

 高齢者は、過去約40年の間に、バブル崩壊やリー…

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