礼儀や思いやりを大切にする日本では、日常のさまざまな場面で“おもてなし”の心を感じることができます。イタリアから2度訪日したミケーレ・パパーニョさんは、そんな日本の飲食店での体験に驚くとともに、大きな感動を覚えたといいます。日本人にとってはごく当たり前のサービスですが、ミケーレさんはいったい何に驚いたのでしょうか。
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映画がきっかけで日本に興味を持った
ミケーレさんが日本に関心を持つようになったのは、映画好きだったことがきっかけです。
「いろいろな国の映画を観ていたんですが、どれも似たようなストーリーでつまらなく感じていたときに、弟が『進撃の巨人』を教えてくれたんです。ストーリーがとてもオリジナルで感動しました。そこからほかの日本のアニメや映画も観るようになって、世界がパッと開けた感じがしました」
子どもの頃に日本のアニメを観たことがありましたが、当時は「変だなぁ」と感じていたそう。しかし、大人になってから観直すと、日本のアニメのおもしろさに気づいたといいます。
こうして「ファンタジーの世界だけじゃなくて、リアルな日本の生活を体験してみたいと思った」というミケーレさん。ある日、地元・ペルージャの日本食レストラン「Giapp-one」で出会った店員の紹介で日本語の先生とつながり、2011年のある週末、2日間だけの初めての日本旅行を実現させました。
9か月間で感じた日本のリアルな暮らし
それから約13年後、ミケーレさんは再び日本を訪れることになります。今度は学生ビザを取得し、ホームステイをしながら学校に通う9か月間の滞在でした。
「2024年9月末から6か月間、横浜で日本語学校に通いました。4か月後には幼稚園で英語を教える仕事も経験しました。1歳から10歳の子どもたちと遊びながら英語を教えるのは、本当に楽しかったです」
日本の生活を大満喫したミケーレさん。日本で最も驚いたことのひとつが、飲食店で水が無料で提供されることだったといいます。
「日本では水がタダで出てくることに驚きました。とてもいいことですよね。イタリアでは、パンがタダのレストランは多いのですが……」
飲食店のお冷やは日本独自の“おもてなし”文化
日本では、飲食店に入って席に着くと、何も注文しなくても冷たい水やお茶などが提供されることが一般的。さらに、飲み終われば、おかわりも無料でもらえることがほとんどです。
一方、ヨーロッパだと水は有料であることが多く、イタリアでもレストランではミネラルウォーター(炭酸入りか炭酸なし)をボトルで注文し、代金を支払うのが一般的です。水道水を無料で頼むことができる場合もありますが、あくまで“頼んだら出てくるもの”。日本のように、注文もしていないのに最初から水が提供されることは、とても珍しいのです。
2度の訪日を経て、日本にますます魅了されたというミケーレさん。次に日本を訪れるときはどんな“おもてなし”に出合うのか、楽しみですね。
Hint-Pot編集部
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