警視庁は12日、2025年上半期(1~6月)に都内で発生した特殊詐欺の被害状況を発表し、被害額は約150億7000万円と過去最悪だった24年上半期(約46億6000万円)の3・2倍となった。警察官をかたる手口が横行しているのが特徴だという。
警視庁によると、認知件数は前年同期比で625件増の2163件に上った。被害額は前年同期の約46億6000万円より約104億1000万円増えた。これに対し、上半期だけで1006件を摘発したという。
警察官をかたって「あなたは事件の容疑者となっている」などとうその電話をかけてくるケースが多く、件数では全体の半分近い1053件、被害額では全体の3分の2の約97億5400万円を占めた。また、犯罪グループが国際電話の番号を悪用し、ネットバンキングによる現金の振り込みを求めてくるケースが目立つという。
特殊詐欺の被害者はこれまで高齢者が目立っていたが、警察官をかたる手口の場合は、若者の被害が顕著となっている。被害者1053人を年代別でみると、30代が224人と最多で、60代までが9割以上を占める。
警視庁は、金融機関や仮想通貨(暗号資産)の事業者と連携した高額取引に対するモニタリングや、交流サイト(SNS)を通じた若者世代への啓発活動を強化しており、「警察を名乗る電話が来たら、いったん電話を切ってから警察署に相談して」と注意を呼びかけている。【山本康介】
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