ミュージカル『テニスの王子様』シリーズやミュージカル『刀剣乱舞』シリーズをはじめとして、数多くの舞台作品に出演してきた俳優・山崎晶吾。7月29日(火)、30日(水)の2日間は、ミュージカル『刀剣乱舞』 目出度歌誉花舞 十周年祝賀祭にも出演予定だ。そんな山崎に、同じくミュージカル『刀剣乱舞』 江 おん すていじ ぜっぷつあー りぶうとでのマレーシア公演での思い出や、10月に上演予定の主演舞台「死んだ山田と教室」などについて話を訊いた。
■修学旅行のように楽しむ時間もあったマレーシア公演
――ミュージカル『刀剣乱舞』 江 おん すていじ ぜっぷつあー りぶうとではマレーシアでの公演がありました。実際に行ってみていかがでしたか?
楽しかったです!マレーシアって、様々な文化圏の方々がたくさん住んでいるので、日本とはまた違う、熱量の高さを感じました。マーケットでお買い物をしていた時は、日本人が珍しいようでたくさん話しかけてくれたりもして、すごく刺激的な時間を過ごすことができたんです。僕はマレーシアに行くのが初めてだったんですが、共演していた雷太がツアーコンダクターのように食べる場所、遊ぶ場所などを調べてくれていて、美味しいご飯をたくさん食べることができました。でも、最初に食べた食事が本当に美味しくて感動していたら、それはマレーシア料理ではなくて、タイ料理だったのは笑いましたね(笑)。
――タイはマレーシアの隣国ですからね。
惜しかったです(笑)。あとは、雷太は鳥が好きなのでバードパークにも遊びに行って。
――雷太さんは鳥が好きなんですか?
大好きなんですよ!なので、めちゃくちゃ詳しい。パーク内も、鳥の詳しい説明をしてもらいながら回ったので、僕も少しだけ詳しくなりました(笑)。田村升吾とは一緒にホテルのプールに遊びに行きました。今振り返ると、マレーシアは、いい意味でみんなで修学旅行に行ったような感覚でしたね(笑)。
■徹夜で飛行機に乗る理由
――いい息抜きもできたんですね。公演はいかがでしたか?
これがすごく不思議な感覚だったんですが、慣れたメンバーと一緒にツアーをしていたので、あまり海外公演という感覚がなくて。Zeppツアーなので、会場の作りも同じですし、お客さんも日本から来てくれた方も多かったんです。緊張をするわけでもなく、とっても楽しめました。
――今度はプライベートで海外に行きたいですね。
それが僕、飛行機苦手なんですよ。なので、今回も乗る前の日は一睡もせず、機内でずっと寝ていて。あの鉄の塊が空を飛んでいることがまだ受け入れられなくて…!
――あはは!
でも、いつかアメリカに行ってみたいです。ラスベガスやビバリーヒルズででゴージャスなエンターテイメントの世界に触れたいですね。
――そして、7月29日(火)、30日(水)にはミュージカル『刀剣乱舞』 目出度歌誉花舞 十周年祝賀祭が開催されます。東京ドームでの公演になるんですね。
そうなんです。僕自身、東京ドームには、“THE MATCH”という格闘技の試合を見に行ったことがあるので、ものすごい大きな会場だという体感はすでにあります。とはいえ、まさか自分がそのステージに立つ日が来るとは考えたこともなかったので、まったく実感が湧きません(笑)。それに、今回は大型ライブ公演なので “江 おん すていじ”を経てのこの公演でどう見せられるのか、自分自身もすごく楽しみなんですよね。みなさんにも、ワクワクしながら待ってもらえるとうれしいです。
■根拠のない自信が崩れた時期の苦しみ
――さらに、下北沢駅前劇場で主演舞台『死んだ山田と教室』が上演されます。今はどのような準備をされているのでしょうか?
僕はオファーを頂いたんですが、ほとんどの役をオーディションで決定するので、どんな方が来るのか、すごく楽しみにしています。
――オファーをもらったときの心境を教えてください。
原作を読んだことがなかったのですが、タイトルがとっても興味深かったので、正直な話、“これはめちゃくちゃ面白いか、面白くないかの2択だな”って思ったんです(笑)。なので、「原作を読んでから決めさせてください」とお願いしたのですが、読み始めたら本当に面白くて!突然亡くなってしまったクラスメイトが、学校のスピーカーを通してだけ話すことができるという奇抜なお話なんです。それなのに、日常的な感覚もあり、読み進めていくにつれて、真実を知ることが怖くなってくる。人間の心情の変化がすごくリアルで、共感性も高いんです。日常的にあったものが離れたときに、受け入れられる人と、受け入れられない人もいるという、その生々しさをどう演じていこうかなと考えています。
――オーディションで役が決まるのも新鮮ですね。
新しい出会いがたくさんあるのかなとワクワクしています。
――山崎さんは、過去にオーディションを受けたことでどんな心情の変化がありましたか?
このお仕事を始めたころは、なぜか自分が一番だと思っていたんです。根拠のない自信ですよね(笑)。でも、オーディションには受からず、様々な作品で本当にすごい方たちと共演していくなかで、それが自分の過信だったことに気づいたんです。そこから、自分が本当の意味での自信を持つためにはどうしたらいいのかわからなかった時期は、苦しかったですね。何が正解で、何が間違いなのかもわからないですし、どうしたら受かるのかもわからなくて。でも、最近は、受かる・受からないは上手い・下手ではなく、その役に合っているか、合っていないかなんだろうなって気づいたんです。もし今回受からなくても、次につながればいいかなと思うようになってから、より楽しめるようになりました。
■33歳で高校生役に挑戦
――今回、山崎さんは高校生役を演じられるんですよね。
そうなんです…!今年33歳になったので、ちょっと…いやかなり不安ですが、後半は先生の役になるのでそこを考慮していただければと思います(笑)。オーディションでは若い俳優さんたちも来ると思うのですが…同世代の人たちが来てくれたら浮かなくていいのかなと(笑)。とはいえ、若い俳優さんが成長する様子を見るのはすごくうれしい気持ちになるんですよね。
――山崎さんも、同じように先輩方から見られていたと思うのですが、何かもらった言葉などは覚えていますか?
初めてストレートの舞台に出演したときに、僕は台本の読み方さえよくわかっていなかったんです。そこで演出家の方から厳しく言われてしまって…。それを見た、共演者の荒木健太郎さんが、稽古の後にカフェで5時間くらい台本の読み方を教えてくださいました。
――それって、なかなか出来ないことですよね。
だからこそ僕も、初めて親鳥を見たひよこかのように、今も荒木さんを見つけたら喜んで話しかけに行きますし、甘えさせてもらっています(笑)。いつか、あの恩をちゃんと返したいなと思っています。
――ちなみに、山崎さんはどんな高校生活を送っていましたか?
仲のいい友達とずっと一緒につるんでいました(笑)。ボーリングをしたり、公園でしゃべったり…今考えると青春でしたね。テレビっ子ではあったんですが、それよりも友達と遊ぶことの方が楽しくて。上京したのは僕だけなのであまり会えないのですが、実家に帰ったときに連絡をすると会いに来てくれるんです。ただ、僕の仕事にまったく興味がなく、SNSも一切していないので、まさか東京ドームに立っているなんて思ってもいないと思うんですよね。それもまた、面白いです。でもだからこそ、心地が良いんですよね。これからも大事にしたい友達です。
――ということは、『死んだ山田と教室』を見に来てくれたりは…。
(食い気味に)ないですね(笑)。
――あはは!
※山崎晶吾の崎は正しくはたつさき
◆取材・文=吉田可奈
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