「あんぱん」史実は男性議員 なぜ鉄子?のぶ上京に戸田恵子の「説得力」関係者として取材も CP語る裏側

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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は12日、第97回が放送され、女優・声優の戸田恵子(67)が6年ぶり6回目の朝ドラ出演で圧倒的な存在感を示してきた代議士・薪鉄子が、秘書・柳井のぶを解雇した。のぶを東京に導いた“メンター”だったものの、袂を分かつ結果に。制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)に鉄子役の作劇や戸田起用の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。

 第97回は、仕事のスケジュールで埋められた黒板を目にし、柳井のぶ(今田美桜)の声は弾むものの、柳井嵩(北村匠海)はため息をつくばかり。のぶは薪鉄子(戸田恵子)から思いもよらぬ言葉を告げられる…という展開。

 朝、鉄子は「のぶさん、あなたは私の秘書にふさわしくないと判断しました」「ご主人とあなたが路頭に迷わないよう、仕事は世話するから」「お互いのために、これが一番いい方法なのよ。ここにいても、あなたの探しているもの(逆転しない正義)は見つからないわ。(涙をこらえ)6年間、ご苦労さまでした」。のぶは愕然とした。

 弱き者に手を差し伸べる――。戦後間もなく“ガード下の女王”の志に共鳴したが、秘書生活にピリオドが打たれた。

 鉄子は八木信之介(妻夫木聡)の雑貨店へ。

 鉄子「のぶさんみたいに清らかな人には、あての秘書は務まらんき」

 八木「あんたの方が怖くなったんじゃないのか。彼女といると、自分の清らかな部分を思い出して、泥水飲めなくなりそうで」

 鉄子「ホンマに、嫌なことしか言わんねぇ。もう、ここには来んき。あてもそう暇やないきね」

 鉄子は核心を突かれた。

 暢さんがやなせ氏より先に高知新聞社を退職し、上京して議員秘書を務めたのは史実。しかし、この代議士は男性で、今作は巧みなアレンジが施された。

 戸田は1988年のアニメ「それいけ!アンパンマン」放送開始から35年以上にわたり、主人公・アンパンマンの声を担当。やなせ氏との親交も深く、倉崎CPは「まず制作初期の段階で、やなせさんを知る大切な関係者の一人として戸田さんを取材させていただいて。その時点で『戸田さんには是非、本編にご出演いただきたいと思っております』と我々チームの考えをお伝えしました」。やなせ氏夫妻を描くドラマにとっては、何としても実現したい目玉キャスティングだ。

 ただ、全体プロットを見ると、年代的に戸田がハマりそうな主要キャラクターは意外に少ない。本打ち(台本打ち合わせ)を進めると、女性代議士のアイデアが浮上した。

 「のぶが高知新報を辞めて上京を決意するには相当なモチベーションが必要で、のぶが心からリスペクトできる相手に『東京で仕事を手伝ってほしい』と誘われないといけません。女性代議士にすることで、戸田さんに演じていただくことができますし、より説得力も生まれます。それなら、のぶ以上のハチキン(土佐弁で「快活な女性」)なのでは?と人物像がどんどん膨らんでいって、戸田さんのご登場は『ここがベスト』と正式オファーをさせていただきました」

 中園氏は「あんぱん」の全登場人物に「アンパンマン」のキャラクターを“裏設定”として織り込んでいるが、鉄子役は「てっかのマキちゃん」。困った人を放っておけない女の子で、ドキンちゃんが弟子入りしたこともある正義の味方。やなせ氏の好物・鉄火巻きがモチーフとなった。

 のぶに「新聞記者に向いていない」と上京を促した「月刊くじら」編集長・東海林明(津田健次郎)と同様、鉄子にも敢えて愛弟子を突き放した“親心”が垣間見えた。「逆転しない正義」を見つける夫婦旅は、これから本番を迎える。

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