「ブレイク」に繋がらない…手堅く稼げるお笑い賞レースという″劇薬″がバラエティ業界を腐敗させる?

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乱立するお笑い賞レースがバラエティ業界を腐敗させる?

漫才&コントの二刀流王者を決める新たなお笑い賞レース『ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦2025』(日本テレビ系)が7月21日に開催され、「ニッポンの社長」がグランプリに輝いた。だが、早くもテレビマンたちからは不満の声があがっている。

「1本目に漫才をするのか、コントにするのかを選択できるのですが、ファイナリスト7組のうち『スタミナパン』以外がコントを選択。ならば、1本目はコント、2本目は漫才という設定にしたほうが視聴者は見やすかったのではないか。二刀流を謳っているのに、コント風漫才を披露したコンビが少なくなかったのも気がかり。コンセプトが崩壊しているという印象を受けました」(放送作家)

『ダブルインパクト』初代王者となった「ニッポンの社長」辻皓平(38・左)とケツ(35)。実力者だが、意外にも今回が初のビッグタイトル獲得だ

日テレは他にも『女芸人No.決定戦 THE W』を持っており、フジテレビ系ではピン芸人のトップを決める『R-1グランプリ』、結成16年以上のプロのお笑い芸人のみが出場できる『THE SECOND〜漫才トーナメント〜』を放送している。

そこに加えて今年はTOKYO MXが開局30周年を記念して地下芸人のNo.1を決める『MXグランプリ〜異端芸人決定戦〜』を開催。ここにきて賞レースが増えている。

「ほとんどのお笑い賞レースが参加芸人からエントリー料を徴収しており、予選から観戦チケットは争奪戦になる。スポンサーもつきやすい。主催するテレビ局も、多くで運営に関わっている吉本興業にとっても美味しいんです。昨今のテレビ不況で経費も人員も削られ、バラエティ番組のスタッフが劇場に足を運んで若手芸人を発掘するのが難しくなるなか、賞レースは″有望芸人の見本市″的な位置付けになっている。非常に重宝されています」(制作会社ディレクター)

なかでも業界人の注目度が高いのが『THE W』だという。

「勝者のブレイク率が高いんです。女性の社会進出、ジェンダー平等の流れに乗ってバラエティ番組でも女性タレントの起用が増えており、『THE W』は各局のキャスティング担当者にとって要チェックな賞レースとなっている。視聴率に関係なく続けてほしいと思っているテレビマンはいっぱいいると思いますが、『ダブルインパクト』が始まったことにより、終了を危惧する声が上がり始めていますね」(前出・放送作家)

ただ、乱立によって各賞レースの価値自体は下がり始めている。

「『THE W』と『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)以外は、優勝してもさほどインパクトがなく、ブレイクに繋がっていません。審査員が審査される時代となったことで、大御所芸人がジャッジに入ってくれなくなったのも痛い」(キー局プロデューサー)

テレビ業界が賞レースに依存することによる弊害も指摘されている。

「やす子(26)や狩野英孝(43)のような、ネタ以外で才能を発揮するタイプのタレントが世に出づらくなっているのはバラエティ業界にとってマイナス。時間とおカネをかけて若手を発掘するシステムを復活させるべきではないか」(前出・制作会社ディレクター)

手堅く数字とおカネを稼げる賞レースという″劇薬″。乱用による副作用のリスクを局側は考えねばならない。

『FRIDAY』2025年8月22日・29日号より

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