
(ちくま新書・1012円)
弔いのあり方転換点本質に迫る
本書は、「賽(さい)の河原」だけを論じているのではない。弔いのフィールドワークを通じて、供養の本質に迫ることを目的としている。
著者が注目するのはイタコと口寄せである。死者の霊がイタコに降り、死者として語り出すのが口寄せだ。青森県の恐山がよく知られるが、これは青森固有の伝統ではなく、各地に同様の儀礼が存在した。
イタコの存在は、メディアによって繰り返し取り上げられてきた。しかし、そこで表象されるイタコのイメージと、実際の口寄せの現場では、大きな乖離(かいり)があるという。口寄せの現場では、亡くなった人と自由に会話ができると思われているが、そうではない。
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