20度から1度上がるごとに生産性減? 国連が職場の暑さリスク報告書

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世界保健機関(WHO)の本部=ジュネーブで2025年1月28日、ロイター 拡大
世界保健機関(WHO)の本部=ジュネーブで2025年1月28日、ロイター

 国連は22日、気候変動に伴う深刻な熱ストレスから労働者を守るための指針を盛り込んだ報告書を公表した。各国の政府や雇用者に対し、持病のある人や中高年など体力の低下した人に配慮しながら、地域や職種ごとに対策を立てることを求めた。世界気象機関(WMO)のバレット副事務局長は「酷暑から労働者を守ることは健康面のみならず、経済的にも必要だ」と訴える。

 WMOとWHO(世界保健機関)が共同でまとめた。報告書によれば、世界各地で極端な暑さは厳しさ、頻度ともに増し、屋内外で労働者のリスクを高めている。熱中症や腎機能障害などの健康被害は今後、開発途上国で特に深刻化するとみられる。暑さと生産性の関係にも着目し、セ氏20度を超えると気温が1度上がるごとに労働者の生産性は2~3%下がるとした。

 推奨される行動として、労働者を含むすべての利害関係者を巻き込みながら対策に取り組む必要性を強調。送風機が付いた作業服や水の噴霧など、暑さを緩和する技術の積極的な活用も求めた。

 両機関が暑さと労働に焦点を当てた報告書をまとめたのはおよそ半世紀ぶり。2024年に世界の平均気温が観測史上最高を記録するなど温暖化は加速し、暑さから労働者の命を守ることは「赤道に近い地域だけではなく、世界的な共通課題となった」(バレット氏)と指摘する。

 日本では労働安全衛生法の規則が改正され、職場での熱中症対策が6月から罰則付きで義務化された。【ニューヨーク八田浩輔】

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