石破茂首相は23日、来日した韓国の李在明(イジェミョン)大統領と首相官邸で会談した。会談後に両首脳が17年ぶりに共同で発表した文書によると、1965年の日韓国交正常化以来築いてきた基盤に基づき、両国関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致した。会談では「日韓次官戦略対話」の早期開催や、防衛当局の対話枠組みを活用した協力強化を模索することを確認。人口減少や地方創生といった両国共通の課題解決に向けた協議体の立ち上げでも一致した。
国交正常化以降、韓国大統領が就任後初の2国間訪問先として日本を訪れるのは初めて。両首脳は若者が働きながら長期滞在できる「ワーキングホリデー」制度を巡り現在の1人1回(最長1年)から、2回(最長2年)へ拡充することとした。また水素や人工知能(AI)などの分野の協力推進で一致。北朝鮮の完全な非核化に向け、日韓や日米韓3カ国で緊密に連携していくことも確認した。
首相は会談で「日韓の安定的な関係の発展は両国の利益となると同時に、地域全体の利益となる」と述べ、李氏は「国際的な秩序が揺れ動いている状況なので、価値や理念が似ていて立場を共有する韓日がいつにも増して協力を強化するタイミングだ」と応じた。
今年は、65年の日韓国交正常化から60周年に当たる。今回は首脳の相互往来「シャトル外交」の第1弾となる。李氏は24日、日本から米国に向かい、トランプ大統領と会談する。【田所柳子、大野航太郎】
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