
ウクライナへの侵攻をやめないロシアに対し、トランプ米大統領が圧力強化の構えを見せる。停戦交渉に合意しなければ、ロシアと取引する国に100%の関税を課す「2次関税」に踏み切るなどと表明し、猶予期限の短縮にも言及した。
今後の展開やインパクトはどうなのか。ロシアの資源経済に詳しい独立行政法人「エネルギー・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)の原田大輔調査部長に聞くと、「気になることがある」という。【聞き手・浅川大樹】
「どちらを選ぶか」
――トランプ氏が表明した2次関税をどう見ていますか。
◆全く新しい制裁手法だ。露産原油の主要な買い手である中国やインドを念頭に置いた措置と言えるだろう。こうした国が米国に物品を輸出する際に高関税を課すと説明している。要は「米国の巨大市場と安い露産原油のどちらを選ぶのか」と突きつけている。
米国は中印両国にとって非常に重要な輸出先である一方、原油は代替調達が可能だ。もし2次関税が発動されれば、関税適用を避けるために露産原油の購入をやめるだろう。
その場合、露産原油の新たな買い手として考えられるのはアフリカやアジアの一部の国だ。ただ、大口需要国である中印の穴を埋めるような市場はなく、ロシアは安売りせざるを得ない状況に追い込まれる。輸出の量も取引価格も下がり、原油収入は小さくなる。ロシアにとって打撃となる。
ロシアの継戦能力は
――2次関税は停戦合意を早めますか。
◆2次関税に…
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