ベタ足インファイト
角換わりにおいて、後手の基本姿勢は「待ち」のはず。そのセオリーに反して中村が吹っ掛けたものだから、まだ午前10時台というのに盤上は早くも緊張状態。先攻された千田は一度席を外し、数分後再び離席した。不穏な空気を察したのだろう。勝負師らしい間の取り方だった。[後]3五歩(図)を決行した中村は、天井を見上げたり顔をしかめたり不意にガクンとうなだれたり。その挙動は、どこか武者震いのようにも見えた。
22分考えて、千田は[先]4五歩と真っ向勝負に出た。対して[後]5五銀左は[先]同銀[後]同銀[先]2三銀で自信なし。そう読んだ中村は、逃げずに[後]3六歩。以下ボロッと銀を取る千田の[先]4四歩に、桂を取り返す中村の[後]3七歩成(本日終了図)。ベタ足インファイトのような、直線的な駒の取り合いだった。
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