29日午後6時半ごろ、千葉県館山市の平砂浦海岸付近を通りかかった男性から「浅瀬に大きさ7~8メートルのクジラが4匹ほど座礁している」と県警館山署に通報があった。警察官が現場に駆けつけ、4頭が波打ち際に打ち上げられているのを確認した。30日にロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震があったが、これまでの研究では「地震と集団座礁の相関関係は見いだせない」と結論づけられている。
県警によると、クジラの種類は不明で、生死も分かっていない。
館山署から通報を受けた県安房土木事務所の職員が30日午前に現場へ向かったが、津波警報が発表されたため、途中で引き返した。
土木事務所の担当者は、クジラが打ち上げられたことと津波との因果関係は「分からない」と話した。警報が解除され次第、現場に再び向かうとしている。
大地震が起こると、クジラやイルカの集団座礁との関連がたびたび話題になる。2011年の東日本大震災でも、発生7日前に茨城県の海岸にイルカの一種、カズハゴンドウ54頭が集団座礁して、地震との関連が騒がれた。
東海大の研究チームが18年の日本地震学会で発表した分析結果によると、1923~11年に国内で2頭以上の鯨類が同時に浜辺に打ち上げられるなどした48事例を調べたところ、この期間中、座礁現場の200キロ圏内でマグニチュード(M)6以上の地震が計429回あったが、座礁から30日以内に発生したのはこのうち2回だけだった。
クジラなどの集団座礁は「マス・ストランディング」と呼ばれ、迷いやすい海底地形や、海中に音波を出す船舶のソナーの影響などが指摘される。【中村聡也、池田知広】
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