東京都八王子市のスーパーナンペイ大和田店で1995年7月、アルバイト店員の女子高校生ら3人が射殺された事件は、未解決のまま30日で発生から30年となった。警視庁捜査1課で、長年捜査にあたる特命捜査2係長の荒川秀樹警部(55)は、毎日新聞のインタビューに応じ、事件に関する情報提供は「30年たっても遅くない」と協力を呼び掛けた。
――事件の特徴は。
◆ごく短時間の犯行で、凶器は拳銃なので被害者に接することなく致命傷を負わせています。現場に残された物証の乏しさが、捜査を難しくしている一番の要因です。
――事件当日は何をしていましたか。
◆地元の京都府で、金融機関に勤務していました。日本でもこんな事件が起きるのかと驚きました。刑事への憧れから転職しましたが、この事件を担当するとは夢にも思いませんでした。
――捜査に初めて関わったのは。
◆発生から17年たった2012年、2回目の捜査1課勤務の時です。多くの先輩が解決できなかった難事件。先輩たちの思いも背負わないといけないので、責任の重さを感じました。
――印象に残った捜査は。
◆事件で使われたとされるフィリピン製拳銃「スカイヤーズ・ビンガム」の捜査でフィリピンに行ったり、事件の実行犯を知っているとの情報があったカナダ居住の中国人男性を日本に移送して聴取したりしました。
――現在力を入れているのは。
◆くもの糸をたぐるような捜査をせざるを得ません。捜査技術も進化しているので、現場から押収された試料から今の技術で新しいことが分からないかは、常々考えています。
――時間の経過をどう捉えていますか。
◆関係者が亡くなっていたり、記憶が薄れたりしていて弊害はさまざまです。ただ、30年たっても遺族の無念さは変わりません。「時間の壁」は未検挙の理由にはならないので絶対に諦めません。
――呼び掛けたいことは。
◆犯人に関する情報に限らず、「当時周辺を通りかかった」といったささいなことでもいいので、情報提供をお願いしたい。どんな情報も遅すぎるということはありません。【聞き手・菅健吾、朝比奈由佳】
Comments