起業家女性へのセクハラ 深刻化の背景に「加害投資家らの連帯」

Date: Category:経済 Views:4526 Comment:0

起業家女性のセクハラ被害は深刻な問題となっている(写真はイメージ)
起業家女性のセクハラ被害は深刻な問題となっている(写真はイメージ)

 スタートアップ業界での女性起業家へのセクハラ被害が深刻な問題になっている。投資家らが出資と引き換えに性的行為を要求するなど、悪質性が高いセクハラを訴える声も相次いでおり、国も近く初の実態調査に乗り出す。問題の背景を探った。

「被害者は面倒なやつ」言いふらされて……

 「午前2時に電話がかかってきて『家に行ってあげてもいいよ』と言われたこともある。もはや事業どころではなくなってしまった」。そう被害体験を明かすのは20代の女性起業家だ。新興企業に出資する投資会社・ファンドであるベンチャーキャピタル(VC)から資金を調達し、振り込みが完了して「逃げられなくなった」途端、ひどいセクハラが始まったという。

 起業家へのセクハラや性加害の撲滅に向けて活動する当事者団体「起業家エンパワーメントコミュニティ スタートアップユニオン Tomorrow」(東京都)には、こうした被害者の声が相次いで届く。

 Tomorrowが実施した起業家らへの聞き取り調査では「セクハラをやめてほしいと伝えたら投資取引が止まり、金銭の返還を求められた」「加害者に行為をとがめたら『あいつは面倒くさいやつ』と言いふらされ、他のVCとも連絡がつかなくなり、投資相談の問い合わせメールの返信さえこない」といった切実な訴えが寄せられた。加害者ではなく、被害者が業界から排除される理不尽な事態はしばしば起きているという。

 こうした状況から、Tomorrowは2月からミーティングを通じて被害者が経験を共有したり、被害届の提出方法などの対応策を話し合ったりしてきた。

 団体の代表を務める松阪美穂さん自身も被害当事者だ。カウンセリングなどの事業で起業を目指していたところ、複数のVC担当者や個人投資家から性的対価を要求されるなど深刻なセクハラ被害を受け、長年の夢を諦めざるを得なくなった。今は再び起業をしたいとも考えているが、資金調達に大きな不安を抱えている。

セクハラを生み出す「構造や風土」

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.