異質に思えた[先]7九金
中村太地八段が角換わり早繰り銀を志向。序盤からテンポよく飛ばす。A級開幕に向けて入念に準備してきたことがうかがえる。それにしても横ばいの[先]7九金(図)には驚いた。最新定跡に疎い筆者には異質に思えた。僅か2分で指せる手ではない。AI(人工知能)研究の裏付けは間違いない。そう感じてソフトを確認すると、第1...
・水は海、空気は空と、青くなり透明な日々は 青春となる。 美しい日本語BOT
てのひらにすくい取った水は透明。でも、海も湖もプールも、たっぷりと水が集まれば青色に。そして見上げれば、青く広がる昼間の空。理科の授業で光の習性だと習っても、やっぱりなんだか不思議です。あの日々も、遠く離れて振り返ると「青春」という色になるのですね。
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きみの耳花火の音が塞いでてぼくの「ごめん」は宙をただよう 所沢市 里見脩一
<評>臨場感のある作品だ。2人は花火の音とざわめきの中にいる。そんな場面で謝るところに微妙な心理が表れている。
いいですかアン・ドゥ・トロワでいきますよ アン・ドゥ・トロワ はい終わりです 東京 富尾なつ
<評>シンプルな歌である。レッスンの始まりと終わりの...
一票を入れてやるから俺にくれ名前を叫ぶだけのマイクを 四日市市 早川和博
<評>候補者はただ名前を連呼しているだけのようだ。ならばそのマイクを「俺」に。「俺」も「叫ぶ」。何を?
祖母言ひき分限者(ぶげんしゃ)の蔵には古古米が貧乏の家は早から新米 京丹後市 山副美佐子
<評>分限者とはお金持ちのこと。蓄える余裕のない家は新米までどうし...
哀(かな)しみの水面(みなも)に睫毛(まつげ)を浸(つ)からせてT・カポーティ入水はせず 東京 境千尋
<評>作家は、深い水のあまりにも近くにいたために、かえってそこに身を投じることはできなかったのかもしれない。
キリストと時を同じく誕生のセコイア切株壁に磔(はりつけ) 加古川市 畑啓之
<評>キリストと同じ時間を生きたセコイアが、...
校庭の焼却炉へと放りこむ半紙に「夢」のあまた燥(はしゃ)げり 東京 浅倉修
<評>生徒たちが習字の時間に書いた「夢」のホゴ紙。結句が印象的である。生徒のおのおのの夢が実現してほしい願いにもとれる。
古びたる名刺ホルダーに名を残す我が人生の共演者たち 前橋市 内山征洋
<評>「共演者」の語がいい。これを使ったところに作者の人生観が出て...
滴りのかたちとなりて落ちにけり 川口市 高橋さだ子
<評>岩肌などからしみ出した水がただ流れ落ちるのではなく、「滴り」といえば絵に描いたようなふくらんだ水滴を思うのである。
籐(とう)椅子のいつしか猫のものとなり 東京 草野准子
<評>使い込んだものの心地よさは猫にとっても同じらしく、すっかり占領されてしま…...
くちなはを見し草むらに踏み込めず 横浜市 斎藤山葉
<評>草むらを見ると、くねるように進む蛇の姿がよみがえり、足がすくむ。くちなはという呼び名も蛇の長さを思わせ恐ろし気だ。
今日からはなにを食ふべき暑さかな 八街市 山本淑夫
<評>何を食べたらいいかわからないという嘆きが猛暑を表す。どうしようもない暑さだ…...
廃屋となりし生家のかたつむり 川越市 大野宥之介
<評>住む人もなくなった生家に見いだした小さな生き物に、懐かしさと思い出が凝縮されている。五感に訴えてくるようだ。
片蔭(かたかげ)の直線多し大手町 つくば市 村越陽一
<評>人工的な官庁街の直線美を描いて、涼しさを感じさせる。明暗の対比もあざやか。
颯爽(さっそう)と日傘の男御堂筋...
日傘して小さくなりし世界かな 姫路市 田辺富士雄
<評>争いの絶えないこの世を視界から遠ざけ、自分の身の回りを大切に守る。日傘がそんな生き方を表すように思えた。
筆圧の熱き履歴書雲の峰 大阪市 すずしろゆき
<評>筆圧が強いのではなく熱いのだ。懸命に職を得ようとする焦燥感がそこに表れている。
しをりひも畳に垂るる大暑かな 大野城市 ...