米ホワイトハウスのレビット報道官は7月31日の記者会見で、イスラエルを訪問しているウィットコフ中東担当特使が8月1日に人道危機が深刻化しているパレスチナ自治区ガザ地区を訪れると発表した。食料や援助物資の供給計画を立てるため、配給拠点を視察し、ガザの住民から「現地の悲惨な状況」を直接聞くという。
レビット氏によると、ウィットコフ氏とハッカビー駐イスラエル大使は31日にイスラエルのネタニヤフ首相らと会談し、ガザへの食料や援助物資の緊急供給に関して「非常に実りの多い協議」をした。1日に現地を視察した後、トランプ米大統領に報告して供給計画を決めるという。
CNNによると、ウィットコフ氏がガザを訪問すれば、今年1月以来2回目となる。
トランプ氏は、ガザの状況について「子供たちは紛れもなく飢えている。良質な食料を提供する。資金を出す」と述べ、食料支援に乗り出す考えを示していた。
ただし、仲介役を務めてきたイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉が進まないことに関しては、ハマスにいら立ちを募らせている。イスラエル軍によるハマスの「排除」を容認する姿勢を示唆し、31日には自身のソーシャルメディアに「ガザの人道危機を最も早く終結させる方法は、ハマスが降伏し、人質を解放することだ」と投稿した。
一方、パレスチナについては、フランスや英国、カナダが国家として承認する意向を相次いで表明している。これに対し、レビット氏は、トランプ氏はこれら3カ国の首脳に対して不満と反対の考えを示したと強調。国家承認について、「トランプ氏は、ハマスが停戦と人質全員解放の真の障害となっている状況の中で、ハマスに報奨を与えることになると感じている」と説明した。
米国務省はこの日、パレスチナ自治政府の職員やパレスチナ解放機構(PLO)のメンバーに制裁を科すと発表した。「国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)を通じて、イスラエルとの紛争を国際問題化し、テロを支援する行為を継続している」などと主張し、ビザの発給を制限する。【ワシントン西田進一郎】
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