さいたま市の浦和美園駅と東京都心を結ぶ地下鉄7号線(埼玉高速鉄道)の延伸について、同市の清水勇人市長は7月31日、「(赤字になるなどして)市民に大きな負担を強いる見通しが出る場合は実施できない」との考えを示した。今後、黒字を達成できる事業計画を示せるかが延伸実現の鍵となりそうだ。
同日開かれた大野元裕知事との意見交換会後、報道陣の取材に答えた。
地下鉄7号線を巡っては、2023年度中に鉄道事業者に延伸事業実施を要請する方針だったが整備費増大で断念した。その後、市は延伸で向上する利便性と整備コストを比べた「費用対効果」が国の補助制度適用の目安を上回ったと公表。県と市は今年4月、延伸事業実施を連名で要請することで合意した。
一方、鉄道事業者が自力で黒字運営を実現できるかなどの「事業採算性」は試算中で、国の目安を上回れるかは不透明だという。この日、清水市長は「超える見込みだ」、大野知事は「可能性は十分ある」と報道陣に強調したが、市執行部は「見通しが立った状態ではなく検討中」、県の担当は「協議中で確定した数字は出ていない。知事発言は可能性としての話と認識している」と明言を避けた。
大野知事は4月の定例記者会見で「赤字になって県民に大きな負担を強いる場合、我々の責任として実施はできない」と明言している。【鷲頭彰子】
Comments