
福岡県田川市立伊田小(石井雄二校長、368人)の敷地内にあり、地域の相撲大会で児童たちが熱戦を繰り広げてきた土俵とやぐらが撤去されることになった。
伊田小では1958年から毎年、校区内の地区対抗相撲大会を開催。男女を問わず力自慢の子供たちが出場する秋の一大イベントで、土俵際の攻防で住民を沸かしてきた。しかし、少子化に伴い参加者が減少。コロナ禍もあって2019年から中止となり、今に至る。在校生に大会を経験した児童はいない。
土俵と四方4本の柱で支えられた木製のやぐらは大会が始まった年に完成。何度か修繕されたが上部が傾くなど老朽化が目立っており、大会再開が見通せないため24年度に撤去することが決まった。お別れ会は、児童に伝統を引き継いでもらおうと企画された。

同小で7月15日、土俵とのお別れ会が催され、大会に出場した卒業生らがかつての熱気を振り返り、児童に思い出を語った。1959年の土俵の完成式には初代若乃花が訪れ奉納土俵入りしたこと、子どもよりも保護者がヒートアップして盛り上がったこと――。
5、6年生3人が土俵納めの四股を披露した。
土俵は夏休み中に撤去される予定。初代若乃花が来た当時、6年生だったという瀬利宗継さん(77)は「土俵がなくなるのは本当にさみしい」。5年生の大宅麻友さん(11)は「土俵のことを良く知ることができて良かったです」と話した。【出来祥寿】
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