女優の浜木綿子さんの自伝『浜木綿子 楽しく波瀾万丈』(JTBパブリッシング)が刊行された。演劇ジャーナリストの小玉祥子さんの聞き書き。宝塚歌劇団を振り出しに、やがて帝国劇場や芸術座といった東宝の舞台をメインに活躍してきた戦後を代表する大女優の一代記だ。
「ちょっと恥ずかしいところもありますが、早速読んでくださった皆さんから、泣きましたとか、クスッとしましたとか、感動しましたとか、感想をいただきます。私、そんなすごいことしてきたかなって思うんですけれど、情熱を振り絞って生きてきたのは確かです。いろいろなものにあらがいながらではありましたが、結果として、私の人生は楽しかったのだと思います」
和洋の芸事に通じていた父と、往年の映画スター・田中絹代似の母のもとに生を受け約90年、その多くの時間を板の上で過ごしてきた。「風と共に去りぬ」「ラ・マンチャの男」、あるいは「放浪記」「芝櫻」、さらには「人生は、ガタゴト列車に乗って…」「売らいでか!」。日本の商業演劇史に名を刻む数多くの作品に出演、特に喜劇で客席に大きな笑いの渦を巻き起こした。
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