森田望智(28)が、映画「ナイトフラワー」(内田英治監督、11月28日公開)で主演の北川景子(38)と初共演し、格闘家役に初挑戦したことが5日、分かった。
北川が演じる、ドラッグの売人になることを決意したシングルマザーのボディーガードを演じる。格闘技経験0で「戦いとは無縁だった私が、格闘技という戦いの世界にどっぷりと漬かり、闘志に染まることができるのか」と不安を抱えつつ、半年間にわたる過酷なトレーニングに挑戦。7キロ増量し、プロも絶賛する迫力の格闘シーンを作り上げた。
森田が演じる芳井多摩恵は、借金取りに追われて東京へ逃げ、2人の子供の夢をかなえるために危険な世界へと足を踏み入れる、北川が演じる永島夏希と出会い、友情を深めていく役どころだ。原案・脚本も務めた内田英治監督とは、黒木香を演じ一躍、脚光を浴びた19年のNetflixドラマ「全裸監督」以来の本格的なタッグとなった。森田は「『全裸監督』以来、久しぶりに内田監督と、がっつりご一緒させていただきました。内田さんの演出は、役者自身も想像できなかった内面を引き出してくださるので、今の自分の足でその領域にもう一度踏み込み、これまでで一番鮮やかな景色を見てみたいと思いました」と熱っぽく語った。
一方で「私には不向きで困難な道だと分かっているからこそ、挑戦してみたくなりましたし、まだ見ぬ自分に出会ってみたくなりました」と挑んだ、格闘家の役作りへの道のりは長く、険しかった。当初は、内田監督も「やさぐれた女性総合格闘家の役で、格闘技経験ゼロからの挑戦。初稽古で“猫パンチ”を見た時、めまいがしました」と振り返るほどのレベルだった。
それでも、森田はアジア最大の格闘技団体ONEチャンピオンシップでも活躍した元DEEP JEWELSアトム級チャンピオンの山口芽生氏の指導を受け、心技体を磨き上げた。「『勝ちたい』と同時に『絶対に負けたくない』という強い気持ちを誰よりも握りしめている。それが多摩恵の根っこにある力なのだと思います。そしてその思いを胸に立つ多摩恵は、何にでも猪突(ちょとつ)猛進に立ち向かっていくたくましさがあり、演じている私自身も少しだけ強くなれたような気がしました」と役作りで得た手応えを口にした。
森田の突き詰めた役との向き合いに、北川も「今回、多摩恵を演じるにあたって、森田さんが長期にわたり格闘技の訓練を受けたり、体づくりをしてきたことに感銘を受けました」と絶賛した。「こんなに穏やかな方が格闘技をやるのはとても辛かったと思います。アップした時、『もう、やらなくて良いんだ』とおっしゃったのが心に残っています」と、クランクアップ時に、森田が思わず安堵(あんど)の息を漏らしたほど、過酷な撮影だったと明かした。そして「森田さんがご本人と正反対な役にもがきながらも体当たりで向き合う姿を側で見ていたからこそ、私も夏希役をやり抜くことができたと思います」と感謝した。内田監督も「彼女は不屈の精神で役を自分のものにしたのです。北川景子さんとのシスターフッド感もたまらなく好きです。役者魂を目の当たりにしました」と絶賛した。
森田は「試合シーンで集中力が必要な時の本番前に、ふと横に来て、今の私に必要な言葉をそっとかけてくださるのが印象的でした」と、内田監督の演出を振り返った。「よく覚えているのは『野生的』という言葉。感情や見え方を具体的に提示するのではなく、役のその時のイメージを伝えてくださることで、立ち方や気持ちの軸が自然と定まっていくように感じました。けれどそのイメージをどうつかむかは自分次第という、絶妙なバランスで導いてくださるのが印象的でした」と説明。「まるでその場で作曲しているかのように、現場で生まれたものを繊細に拾い上げ、音色を重ねていくような演出には、特別なLIVE感があります。『今この瞬間』を丁寧に捉え、生きた姿を映し出してくださる日々は、本当に幸せな時間でした」と感謝した。
北川は「ご一緒するのは今回が初めてですが、お会いする前からとても楽しみでした」と、森田との初共演を期待していたと明かした。「普段の森田さんはお話ししているとおおらかで柔らかくとても安心できる方です。一緒に時間を過ごすことが楽しく、とてもすてきな方だと思いました。きっと夏希も多摩恵といる時、このような安らぎを得られたのではないかと感じました」と、森田自身のたたずまいが、役における関係性作りにも役立ったと振り返った。そして「森田さんが演じ始め多摩恵になった瞬間、森田さんからは強い引力が放たれ、目が離せなくなりました。夏希が多摩恵と、外れた道であったとしても強い気持ちで進んでいけたのは、多摩恵だったからに他なりません。私も森田さんでなければ、できませんでした。ご一緒できて良かったです」と感謝した。
森田も、現場での北川の立ち居振る舞いが、役作りの根幹に響いたという。「必死にこの世界を生き抜こうとする1人の母の姿。北川さん演じる夏希と対峙(たいじ)したとき、彼女には『何があっても子どもたちを守る』という決死の覚悟が宿っていました。その目を見た撮影帰り、わたしはどこまで本気でがむしゃらに生きられているのだろうかとふと立ち止まったことがありました」と撮影中、抱いた思いを吐露。「多摩恵もそんな夏希だからこそ、一緒に歩んでいくことを決意したんだと思います。決して正しいとは言えない方法で、それでも懸命に生きる姿を是非スクリーンで見ていただけたらうれしいです」と呼びかけた。
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