無惨のお気に入り、上弦の肆・鳴女
多くのファンの期待を集めた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章が、2025年7月18日に公開されました。当日朝から全国の劇場に多くの観客が詰めかける様子が伝えられており、竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊の最終決戦にますます注目が集まっています。
その『無限城編』第一章は、上映時間のほとんどが「無限城」を舞台に描かれます。無限城は広大で入り組んだ和風の空間で、巧妙な仕掛けで鬼殺隊を翻弄します。
この無限城を作り出し、操っているのが、上弦の肆の鬼である「鳴女(なきめ)」です。
鳴女は、作中で「パワハラ会議」と称される場面で初登場した鬼です。当初は十二鬼月にも名を連ねていない一般の鬼でしたが、「刀鍛冶の里編」で半天狗が倒された後、上弦の肆に抜てきされ、その存在感を増しました。
彼女の血鬼術は、無惨の本拠地である「無限城」を自在に操るという強力なもので、琵琶を鳴らすだけで城の部屋を移動させたり、空間を歪めて対象を別の場所に送り届けたりできます。また索敵能力にも長け、巧妙に存在を隠していた鬼殺隊の「お館様」の居所を突き止めるなど、その能力は無惨にとって非常に都合の良いものでした。
『鬼滅の刃』本編では彼女のバックボーンはほとんど描かれず、上弦の鬼のなかでは比較的影の薄い存在でした。しかし、2021年2月に発売された公式ファンブック「鬼殺隊最終見聞録・弐」において、彼女の人間時代の衝撃的な事実が明らかになりました。
無惨を殺害しようとした? 度胸がありすぎる鳴女の過去
鳴女は人間であった時代から琵琶奏者でした。夫が博打狂いのせいで貧しい生活を強いられます。ある日、彼女は舞台で使うお気に入りの着物を夫に勝手に売られてしまい、激怒のあまり夫を殺害してしまいます。その直後に行った演奏が、それまでになく観客から好評を博したことから、彼女は「琵琶を弾く前には必ず誰かを殺す」という殺人の常習犯になったのです。
そしてある時、彼女がターゲットとして目をつけたのが、鬼舞辻無惨でした。当然、無惨は鳴女を返り討ちにしますが、彼女の「度胸」を買って鬼にしたというのです。
「鳴女」という名前や、どこか幸薄そうな彼女のビジュアルからは想像もつかないような殺人行為を繰り返していたという事実に、多くのファンが驚きました。一部のファンの間では、その生き様から「ロック」「メタルモンスター」などと呼ばれ、注目を集めているようです。
『鬼滅の刃』に登場する鬼たちの多くは、それぞれが複雑な過去と悲劇を背負っており、そうした過去が克明に描かれている点も同作の魅力です。下弦の伍・累(るい)と彼の両親との過去、上弦の参・猗窩座(あかざ)の壮絶な人間時代のドラマなどは見る者の心を揺さぶります。その一方で、鳴女のように、人間時代のことがほとんど語られない鬼も存在します。劇場3部作で展開される『無限城編』で、彼女の過去が丁寧に描かれるのかどうかにも注目したいです。
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