無登録で社債を購入するよう勧誘したとして、警視庁生活経済課は8日、フィリピンの投資会社「S・ディビジョン・ホールディングス(SDH社)」の実質的経営者、須見一(はじめ)容疑者(45)=兵庫県宝塚市=ら男女9人を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕したと発表した。2021年5月~23年6月、約2400人に社債を販売し、計約170億円を集めたとみられる。
投資家への利息の支払いが24年1月ごろから滞っていたといい、警視庁は詐欺容疑での立件も視野に調べる。
他に逮捕されたのは、SDH社元社長の池田葵容疑者(38)=松山市=ら。社債購入の勧誘を委託された代理店2社も同法違反の疑いで書類送検された。
逮捕容疑は、共謀して21年6月~23年2月、国の登録を受けずに、日本国内の30~60代の男女9人にSDH社が発行する社債を購入するよう勧誘したとしている。9人は計1億3100万円で購入したという。警視庁は容疑者9人の認否を明らかにしていない。
警視庁によると、須見容疑者が社長を務めるグループ会社「ステップキャピタルマネジメント」(大阪市北区)が国内の窓口となり、少なくとも代理店6社を通じて社債を販売していたという。
代理店はセミナーなどで「フィリピンは急速に経済発展している」「莫大(ばくだい)な資産があるから、万が一の場合のリスクは低い」と宣伝。年利6~24%を約束したとされる。
須見容疑者らは勧誘を委託する際、通信アプリで「大々的には控えて」などと伝えていた。警視庁は須見容疑者らが違法性を認識していたとみている。
SDH社を巡っては、証券取引等監視委員会が23年6月、大阪地裁に業務禁止・停止を申し立てた後も、一部で勧誘が継続されていたとみられる。
SDH社は、フィリピンで邦字紙「日刊まにら新聞」を発行する会社や金融関係など計5社を傘下に持つ。【菅野蘭】
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