「あんぱん」原菜乃華　初恋は“しょくぱんまん様”メイコと生きる初朝ドラの財産「自分なのか役なのか」

　◇「あんぱん」朝田メイコ役・原菜乃華インタビュー（3）

　女優の原菜乃華（21）がNHK連続テレビ小説「あんぱん」（月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り）で朝ドラ初出演。主人公の歌好きな末妹・朝田メイコ役を好演し、反響を呼んでいる。原に撮影の舞台裏を聞いた。

　＜※以下、ネタバレ有＞

　「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛け、女優の今田美桜がヒロインを務める朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。

　原は2009年から子役として活動。22年11月に公開されたアニメーション映画「すずめの戸締まり」（監督新海誠）のオーディションで1700人を超える中から主人公・岩戸鈴芽役に抜てき。声優初挑戦ながら「第18回声優アワード」新人声優賞に輝いた。

　23年「どうする家康」でNHK大河ドラマ初出演。時代劇初挑戦ながら、徳川家康（松本潤）の孫で豊臣秀頼（作間龍斗）に嫁いで板挟みとなる千姫役を好演。Amazon　Prime　Video「【推しの子】」（24年）、主演映画「見える子ちゃん」（25年）など快進撃が続く。

　そして、朝ドラ初挑戦で演じるのは、天真爛漫（らんまん）な朝田家の三女・メイコ。歌好きの設定がクローズアップされ、第19週・第91回（8月4日）〜第94回（8月7日）は“メイコ週”となった。

　1948年（昭和23年）4月、次女・蘭子（河合優実）とともに上京。銀座のカフェで女給として働き始めると、NHKのディレクターになっていた初恋の相手・辛島健太郎（高橋文哉）と再会。夢の「素人のど自慢」に出場した。

　健太郎が“予定外の応援”に駆けつけたため、動揺して予選落ちとなったものの、これを機に想いが通じ合う。半年後、健太郎の実家がある博多で結婚式を挙げた。5年後の1953年（昭和28年）、長女・愛に続く第2子を妊娠・出産。目まぐるしい日々を送る。

　原はヒロインオーディションに参加。愛されキャラの三女がピッタリと抜擢された。メイコが歌好きの設定について、制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー（CP）は「オーディションで歌唱審査はなかったのですが、原さんが歌好きだと耳に入って、メイコ役に決まった後、中園さんと人物像を膨らませていきました。健太郎の伴奏で歌う『椰子の実』や『朝田パンの歌』、『素人のど自慢』といったアイデアも、そこから生まれたんです」と明かした。

　本人は「『アンパンマンのマーチ』の歌詞を喜怒哀楽を込めて朗読したり、木刀を決め技のように振りながら、やなせさんの詩を読む審査もありました。朝ドラのオーディションはこんなに面白いんだと思いましたし、正解がないので逆に自由に、思い切りやり切ることができたかもしれません」と述懐。

　ヒロインオーディションは選外で「残念でしたけど、時間が経ってから突然、メイコ役の連絡を頂いて。ウソみたいと驚いたのと同時に、この作品に携わることができる機会を頂けて、本当にうれしかったです。ただ、メイコは歌が好きな女の子とうかがって、どうしよう…と（笑）」。ボイストレーニングに通いながら練習した。

　昨年9月にクランクイン。長丁場の撮影を体験し「お芝居をしていて、その感情になったのが自分なのか役なのか、分からなくなる瞬間が多々あるんです。こういう経験は初めてで、きっと1年かけて役と一緒に生きていくという朝ドラの現場ならではのことなのかなと思っています」。のぶ（今田美桜）と嵩（北村匠海）の想いが通じ合った第85回（7月25日）は、完成した映像を見て涙が止まらず。「のぶ姉ちゃんへの千尋さん（中沢元紀）の想いも知っていたので、私として泣いているのかメイコとして泣いているのか、分からないぐらい一番泣きました」と明かした。

　今田の座長ぶりを目の当たりにし「常に自然体で、みんながお芝居をしやすい空気感をつくってくださるんです。太陽のような存在で自分もそうなりたいと思いつつ、真似したくてもできないなと。でも、目指したいと常々思っています」。今後の活動にとって大きな財産になりそうだ。

　今作のキャラクターのうち、原自身が恋人にしたいのは？の質問も飛んだが、俳優の中島歩が好演した「（若松）次郎さん」と即答。次郎は「アンパンマン」の「しょくぱんまん」をモチーフにしており「5〜6歳の頃ですかね、私、初恋の相手が“しょくぱんまん様”なんです。“ガチ恋”でした（笑）。真摯で優しくて、王子様っぽいところが、小さい私には刺さったんだと思います。初めてサンタさんからもらったクリスマスプレゼントが“アンパンマンのコップセット”みたいなもので、各キャラクターが描かれていたんですけど、私は“しょくぱんまん”ばかり使っていました（笑）」。メイコそのままの明るい受け答えが印象的だった。

　＝インタビュー終わり＝