「九ちゃん」の愛称で親しまれた歌手、坂本九さん(当時43歳)が日航機墜落事故で亡くなってから40年になるのを前に、坂本さんが幼少期を過ごした茨城県笠間市の「かさま歴史交流館井筒屋」(旧井筒屋本館)で10日、没後40年記念コンサートが開かれた。「上を向いて歩こう」など今も歌い継がれるヒット曲が演奏され、小学校の同窓生らが在りし日をしのんだ。
坂本さんは終戦を挟んで小学1年までの4年間、母親の故郷だった笠間市に疎開していた。国民的スターとなってからも、笠間稲荷神社で結婚式を挙げ、老舗旅館だった旧井筒屋で披露宴を行うなど、笠間に思いを寄せていた。市では1日2回の時報で「上を向いて歩こう」と「明日があるさ」を流しており、坂本さんの歌が身近にある。
ゆかりのある場所で開かれたコンサートでは、先の2曲のほか、「見上げてごらん夜の星を」「涙くんさよなら」などが披露された。市出身のピアニスト、小林萌里さん(35)らの演奏に合わせて、ソプラノ歌手の柿長(かきおさ)飛鳥さん(36)が情感たっぷりに歌い、聴衆がじっくり聴き入っていた。
笠間小の同窓生の男性(83)は、演奏を聴きながら披露宴の何カ月か後に開かれた同窓会を思い出したといい「懐かしくなった。坂本さんは同窓生にとって英雄だった」と振り返った。柿長さんは「坂本さんの歌はいろいろな年代の方の心に刺さる。ぐっとくるものがあると、改めて思った」と話した。【鈴木敬子】
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