2人が心肺停止 「人が流された」通報相次ぐ 九州で記録的大雨

Date: Category:社会 Views:4462 Comment:0

大雨で増水した白川=熊本市中央区で2025年8月11日午前7時42分、中村敦茂撮影 拡大
大雨で増水した白川=熊本市中央区で2025年8月11日午前7時42分、中村敦茂撮影

 前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、九州北部地方では10日に続いて11日も線状降水帯が発生した。気象庁は11日午前、熊本県玉名市と長洲町、八代市、宇城市、氷川町、上天草市、天草市の計7市町に大雨特別警報を出した。その後、大雨警報に切り替えたが、記録的な雨で川の増水や崖崩れなどが発生。熊本県によると2人が心肺停止の状態で見つかり、その他にも人が川に流されたなどの通報があり、捜索している。

 24時間の降水量は、玉名市が453・5ミリで、8月1カ月の平年降水量(180・7ミリ)の約2・5倍を記録した他、熊本県山都町423・0ミリ▽八代市389・0ミリ▽熊本市中央区380・5ミリ――などを観測した。

 熊本県災害対策本部などによると、甲佐町では11日午前、「車で逃げようとしていて、土砂崩れに巻き込まれた」と119番があった。家族4人で車で避難していたとみられ、女性と子ども2人の計3人が救助されたが、女性の夫が行方不明となった。11日午後に男性が発見されたが心肺停止の状態という。また、八代市では11日午後、用水路に沈んだ車の中から高齢とみられる女性1人が心肺停止の状態で見つかった。いずれも身元などの確認を進めている。

 玉名市の境川では、11日未明に「人が流されたかもしれない」と119番があり、消防が捜索している。熊本市北区では車両2台が流され、うち1台が不明となり捜索中。また、熊本市南区では、「同居人不在」との通報があり、外でバイクだけが発見され、捜索が続いている。

 また、福岡県福津市では10日午後、川で60代男性と女性が流されたの119番があり、消防などが捜索を続けている。

 一方、熊本県美里町では、土砂崩れが発生し男性(65)が巻き込まれたが救助された。男性は意識があり、会話もできる状態という。

 甲佐町では、宮内地区の58世帯98人が孤立状態となり、業者が道路復旧に当たっている。また、天草市では2カ所で計22世帯57人が孤立状態になっているが、全員無事は確認できているという。

 県内では、熊本市、玉名市、玉東町、長洲町、美里町、八代市、宇城市、氷川町、上天草市、天草市の計10市町について10日付で災害救助法の適用を決めた。

 大雨の影響で、九州新幹線は11日の始発から全線で運転を見合わせていたが、午後に本数を減らして運転を再開した。在来線では、JR鹿児島線が門司港(北九州市)―博多(福岡市)間で始発から終日運転を見合わせる。九州自動車道は南関インターチェンジ(IC、熊本県南関町)―人吉IC(熊本県人吉市)間の上下線で通行止めとなっている。

 引き続きまとまった雨が降るとみられ、気象庁は11日夜~12日朝にかけ長崎県で線状降水帯発生の恐れがあるとして、土砂災害や浸水、河川の増水に警戒を呼びかけている。12日午後6時までに予想される24時間降水量は多い所で、九州北部、東海200ミリ▽関東甲信、北陸150ミリ▽四国120ミリ▽近畿、中国100ミリ▽東北80ミリ――となっている。【中村敦茂、野呂賢治、栗栖由喜、志村一也】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.