
100年の歴史を紡いできた日本将棋連盟の初の女性会長として、6月に清水市代女流七段(56)が就任して2カ月が過ぎた。
「自分でもびっくり」という会長就任を受け入れるに至った理由を語ったほか、理事を務めた8年間を振り返って女流棋戦命名の裏話などを明かした。
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憎まれ役になってでも 女性初の連盟会長が見つめる将棋の未来像
様式美を継承し、挑戦も
――会長を引き受けた理由は。
清水新会長 人づてに「ネットで会長候補に挙がっていますよ」と聞いていましたが、偉大なる羽生善治前会長の下で、そのすごさと偉大さを間近でずっと拝見していたので、その重さは無理だなって思っていました。それでも選んでいただけたのは光栄なことで、選んでいただけたことへの感謝と、皆さんが支えてくださるという雰囲気がすごくありがたかったのでお引き受けしました。
――就任時に「継承と挑戦」という言葉を挙げました。
◆将棋連盟の長い歴史の中で、女性で初めての会長ということ自体が大きな「挑戦」だと思います。慣例とか常識でこうだと思われてきたことを違う視点から変えていきたいです。具体的にはちょうど今、役員会で話し合っているところなので、斬新なことができるか、というところまで行っていないです。
――「継承」の部分は、どう考えていますか。
◆先達が築き上げてくださった将棋の様式美、和のよさとか対局室の厳かさとかを継承していきたいです。また、羽生前会長が立ち上げたオンラインストアやオンライン将棋スクールといった事業を引き継ぎ、より強化していきたいと思います。
新理事から学ぶ新しい感覚
――会長職を2カ月務めてみての印象は。
◆あっという間でした。理事の時はずっと女流棋戦担当だったので、女流棋戦を基本に考えていたんです。今度は担当部署を持たない立場になって常に全体を見る感覚を訓練中です。どうしても無意識にまずは女流棋戦、と思ってしまうところがあって、まずはそれをなくすように努力中です。
あとは、初めての免状の署名です。羽生前会長が毎日のように書かれている後ろ姿はずっと拝見していたんですが、特別な和紙なので筆遣いが慣れず、かなり時間をかけて書いています。羽生前会長が10枚書く時間に私は1枚書けるかどうか。
署名をずっとしてい…
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