政府が実施した生活保護基準の1割引き下げが最高裁で違法と判断されました。もとは2012年衆院選での自民党公約です。立教大学コミュニティ福祉学部教授の木下武徳さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】
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――裁判で原告は生活保護基準の引き下げで十分な生活ができなくなったと訴えました。
◆最高裁の判断としては基準を設定した際の行政手続きが違法だったとしていて、その結果としての基準が高い、低いという判断はしていません。
――なぜ違法とされるような異常な手続きで基準を引き下げたかが問題です。
◆厚生労働省が基準を引き下げた根拠と説明した計算方法などをみても、あきらかにおかしな手法です。なぜ引き下げ幅は、5%でも15%でもなく10%だったのか。2012年衆院選で自民党が公約した生活保護基準の1割引き下げに厚労省があわせたとしか思えません。
国民の生活を貧しくする公約
――生活保護基準を引き下げるとどんな影響があるのでしょう。
◆生活保護を利用している人の生活が苦しくなるだけではありません。生活保護の利用者以外にも影響します。たとえば…
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