大阪・ミナミの繁華街で起きたビル火災は、消火活動中の消防隊員2人が死亡する惨事となった。
大阪市の横山英幸市長は18日、報道陣に「懸命に消火活動にあたっていた消防隊員が命を落とすことは、本当に痛恨の極み。火災の原因究明と再発防止に努めていく」と語った。
大阪市消防局は21日にも局内に検証委員会を設置する方針。「二度とこのようなことが起こらぬよう、原因を明らかにすべく徹底した調査を進め、再発防止に向けて全力を尽くしてまいります」とのコメントを出した。
消防隊員が活動中に犠牲になる事故は、過去にも起きている。
2019年1月、秋田県能代市で住宅兼店舗など5棟が焼けた火災では、消火活動中の消防署員2人が焼死した。濃く立ちこめた煙に巻き込まれ、方向感覚を失うなど退避できなくなったところで、火災に巻き込まれたとみられる。
20年7月に静岡県吉田町で起きた工場火災では、消防隊員3人と警察官1人が死亡した。火元を確認するため4人が建物に入った後に爆発が起きて黒煙が発生したとされる。
総務省消防庁によると、23年までの5年間で消防活動中に死亡した消防隊員は計10人に上る。
元東京消防庁麻布消防署長の坂口隆夫・市民防災研究所理事は「空気ボンベは20分ほどしかもたない。いつ脱出するか事前に決めておくが、ミナミの火災では不測の事態が発生して脱出できなかったのだろう」と推測する。
その上で坂口さんは、3人1組で結ぶ「命綱」や空気呼吸器の装着、照明器具の携帯などの基本装備に加え、建物の状況確認など「安全管理を軽視した進入でなかったかどうか検証が必要だ」と指摘した。【井手千夏、高良駿輔、矢追健介】
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