寿命を延伸するどころか健康を損ねる危険も? カロリー制限でダイエットが「絵に描いた餅」のわけ

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写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 ダイエットといえば、カロリー制限を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 減量も病気の予防もでき、寿命も延伸できる――。そう考えられ、糖尿病治療でも長い間「王道」とされました。しかし、ゆるやかな糖質制限「ロカボ」を生み出した糖尿病専門医、山田悟医師はカロリー計算の困難さなどを例に挙げ、「絵に描いた餅」だと指摘しました。

 「一部の人以外、取り組む必要はありませんし、成功できる可能性は非常に低い」

その理由を伺うと、カロリー制限が人体にとって危険になりかねないことが見えてきました。【聞き手・倉岡一樹】

砂糖が満腹中枢を狂わせる

 「カロリー制限が健康にいい」とされる理由は、あらゆる生活習慣病につながる肥満の改善だけでなく、アンチエイジングや糖尿病治療に効果を期待できると考えられてきたからです。

 その中に寿命の延伸効果があります。これまでにハエや線虫、そして酵母、加えて単細胞の「原生動物」といったさまざまな生物や細胞でその効果を確認しようとした研究が行われています。

 哺乳類ではネズミで実績があり、非常に面白いと思うデータをご紹介します。最近報告された研究です。

 データでは確かに、寿命の延伸効果を得られました。ところが、寿命の延伸で重要だったのは、カロリー制限期間に体重を減らさないでいることや、高齢になってから体脂肪を維持していることだったのです(注1)。

 「カロリー制限をしているのに体重が減らず、体脂肪を維持していることが延命につながる」という現象の背景を科学的に説明するのは難しそうです。

 私は、ネズミにはその個体としての「しかるべき体重」があって、そこから超過(肥満)しても、過少(やせ)でも、寿命が短くなると解釈すれば理解しやすいと考えています。

 つまり、これまでは「カロリーの摂取量を減らして体重が減ることでネズミによいことが起こる」とされていましたが、「カロリーの摂取量を適正にし、体重もそのネズミに適正な値に近づけることでよいことが起こる」と考えたのです。

 また、これまでのカロリー制限で寿命が延びたという動物実験での餌についてよく調べると、餌の中に砂糖(果糖)が入っていました。

 餌に砂糖が加わると、満腹中枢が決めている「あなたにとって適正なエネルギー摂取量はこれくらいだよ」「あなたにとっての適正な体重はこれくらいだよ」という「セットポイント」(体に備わっている、一定の水準を保つ仕組み)が「上振れ」してしまい、過剰に食べられるようになるのです(注2)。

 これは…

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